世帯年収2000万円のパワーカップルの負担額を計算してみる

夫婦それぞれ年収1000万円(世帯年収2000万円)のパワーカップルが、それぞれ5000万円ずつのペアローンを組み、ペアローン団信に加入して返済をしていたところ、それぞれの残債が4000万円のときに相手方が亡くなったとします。

このとき、相手方の住宅ローンの残債4000万円とともに、自分自身の住宅ローンの残債4000万円もなくなります。この時、上式の「総収入金額」は4000万円とみなされます。

「収入を得るための支出」は、これまでに支払ってきたペアローン団信の保険料総額が該当します。

35年ローン、変動金利0.6%(変動金利0.4%・上乗せ金利0.2%)で金利が変動しなかったと仮定すると、住宅ローンの毎月の支払額は約13万円、7.5年ほどで1000万円を支払う計算。この間の上乗せ金利分が月々4000円だとすると、4000円×7.5年=36万円となります(わかりやすくするために、大まかに計算しています)。

今回の例では、一時所得は(4000万円-36万円-50万円)×1/2=1957万円です。

実際に納税する額は、一時所得だけでなく給与所得も含めた合計所得金額を求め、そこから所得控除を差し引き、課税所得を求めて税金を算出します。

タブレットで納税のコンセプト
写真=iStock.com/Chochengchannel
※写真はイメージです

年収1000万円は全て給与のみとした場合の合計所得金額は

給与所得=1000万円-195万円(給与所得控除)=805万円
一時所得=1957万円
合計所得金額=2762万円

所得税と住民税を合わせて1000万円を超える負担も

所得控除については、基礎控除と社会保険料控除(社会保険料は給与年収の15%と仮定)のみで計算することにしますが、合計所得金額が2500万円超となる場合、基礎控除は0円となります。

従って、課税所得は2762万円-150万円(社会保険料控除)=2612万円となります。所得税率は、課税所得に応じて5%〜45%の7段階あります。40%に該当します。所得税は2612万円×40%-279万6000円=765万2000円です。

住民税率は所得税率に関係なく一律10%。加えて均等割(5000円)が課されるため、住民税は2612万円×10%+5000円=261万7000円です。

ペアローン団信による住宅ローン残債免除で、所得税と住民税、合わせて1026万9000円を支払わなければならないというわけです。この試算はあくまで大まかな金額をもとにした一例ですので、実際にはもっと金額が少なくなることもあるでしょう。

しかし、残債金額によっては、高額な税金を納める必要があることは、事前に理解しておく必要があります。現場ではこういった事態が起こりうることは、さらっと説明される程度で、消費者はしっかり理解した上で選択していないのではと思われます。各社のWebページや商品概要書もチェックしましたが、米印などで下部に記載されている程度でした。