アベノミクスを支持していた若年層が自民を見限った

安倍晋三政権の間、自民が高い支持率を保ったのは、高齢者保守層が支持したためと見られがちだが、そんな中でも若年層が自民を支持していたことが大きかった。「就職氷河期」の上の世代を間近に見ていた若年層は、アベノミクスによって企業収益が改善し、就職環境が劇的に改善したことを評価していた。今回はその層が自民を見限ったのである。背景に、物価上昇の中で給与が上がらず、生活が苦しくなっていることがあるのは言うまでもない。

今回の選挙の結果は、おそらく、今後の若年層の投票行動に大きな変化をもたらすに違いない。有権者の人口構成では圧倒的に高齢者が多いため、若年層の意向が選挙では反映されにくい「シルバー民主主義」と呼ばれる状況に、若年層は白けてきた。どうせ投票に行っても自分の意見は通らない、無駄だから投票には行かない、というわけだ。ところが、今回、国民民主が躍進し、自民を中心とする与党も立憲を中心とする野党も過半数を握れない中で、はからずも国民民主がキャスティングボートを握る格好になった。