1回のメールで1万円、1時間の相談で20万円を請求

私には仲間はいないが、誰にでも差別なく接してきたという自負はある。

自分の心を偽ることなく、いつの時もオープンでいることを心がけてきた。

たとえば私はホームページにアドレスを公開しているので、毎日大量にメールが届く。そのメールに対しては、基本的に一度は返信する。

ラップトップで入力する男
写真=iStock.com/Zorica Nastasic
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しかし、二度目に同じ人からメールが来た場合には、1回のメールにつき1万円の料金を請求している。リモートでの相談を希望する人がいれば、知り合いでなくても引き受けるが、その場合は1時間あたり20万円の料金を請求している。いずれも事前振込み制だ。

そこまでして私に相談することなのか? と問いかけているわけだが、言い方を変えれば、簡単に言ってこないでほしいということだ。

歌手がカラオケでタダで歌ってくれと言われたら怒るだろう。私も経済アナリストを生業とする労働者なのだ。

もとより慈善活動をする気はない。そんな暇もない。ただし高額を出しても私に相談したいという人に対しては誠心誠意向き合うと決めている。

そうした行動に対して、「森永は、とんでもない資本主義者だ」などと批判を受けることもあるが、私は違うと思っている。

「無料」のおいしい話には罠がある

例えば、著名な芸能人や評論家と直接話がしたいと申し込んでみてほしい。たいていの場合、あれこれと理屈をつけて、断ってくるはずだ。

私は、お金さえ支払ってくれれば、誰とでも話す。

1時間20万円のトーク料は高いと思われるかもしれないが、いま私は毎月100万円以上の医療費を投じて延命をしているのだから、むしろとても安い料金設定だと考えている。

ただ、世間はなぜかタダで私と話ができると思い込んでいる。だから、SNS型投資詐欺にひっかかってしまうのだ。

SNS型投資詐欺では、親切な著名人が、無償で投資相談をしてくれて、本も無償で送ってくれる。

冷静に考えたら、そんなことがあるはずがないだろう。おいしい話には罠がある。親切心を装ってあれこれ相談に乗るのは投資詐欺の餌食にしようという企みがあるからだ。

おいしい話に遭遇したら、「なぜ、この人は自分に親切にしてくれるのだろう」「そんなに儲かる話ならなぜ独り占めしようとしないのか」と疑ってかからなければいけない。

ところが、人間は「無料」に弱い。その結果、全財産を詐欺師に奪われることになるのだ。

一方、1回1万円の料金を請求するだけで、99.9パーセントの人は、2回目のメールを自粛する。私のアドバイスで、数千万円の詐欺被害から財産を守ることができても、たった1万円を惜しんで、詐欺師のほうに耳を傾けてしまうのだ。

料金を支払ってでも私に相談をしたい人は、わずかだがいる。

そうした人に対しては、誠心誠意向き合っている。

1万円くらいのコストなら、ちょっとした節約で捻出することは可能だろう。だから、私のやっている料金請求は、本気で話を聞きたいのかを判別する基準にもなっているのだ。