行政に助けを求めても「法律の壁」が

――自殺によって子どもを喪うという非常事態ですが、にもかかわらず、遺族が知りたいことを知ることができない非情な現実が、この本でつまびらかになりました。

【石川】事件が起きた直後から、学校は自殺の事実を「突然死」「転校」に替える提案をしました。これは文部科学省の定めた「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」に反しています。また、全校保護者会の開催、息子のクラスでの命に関する話し合い、加害者への指導など、再発を防ぐために願った遺族の申し入れを拒否し、不誠実な対応を取り続けていました。