高齢になっても元気でいるためには何に気を付けるべきか。医師の平松類さんは「男性が要介護になる原因1位は脳卒中だ。運動障害や感覚障害、失語症などの後遺症を残さないためには、症状が現れた時点でできるだけ急いで病院に行ったほうがいい。一方、女性は骨折・転倒が原因となることが多い」という――。
※本稿は、平松類『老いた親はなぜ部屋を片付けないのか』(日経プレミアシリーズ)の一部を再編集したものです。
要介護になる原因は男女で異なる
親の様子に変化が見られるようになってきたら、そこから「介護のリスク」がどれくらいあるのかを見極めることが大切です。そのためには、日本の高齢者がどのような原因から介護が必要な状態になったのかについて、まず知るといいでしょう。
2022年の厚生労働省による「国民生活基礎調査」の結果をもとに、介護が必要になった主な原因を性別ごとに見てみましょう。男性の1位は脳血管疾患(脳卒中)、2位は認知症、3位は高齢による衰弱、4位は骨折・転倒、5位は心疾患(心臓病)となっています。
それに対して女性の場合は、1位が認知症、2位が骨折・転倒、3位が高齢による衰弱、4位が関節疾患、5位が脳卒中です。
男女によって傾向が違うということが分かりますよね。父親か母親かによって、介護のリスクの内容が違うということを押さえておきましょう。
生活習慣病を放っておいてはいけない
多くの人が心配する認知症は、男女とも介護が必要になった原因として、やはり大きな割合を占めています。それ以外では、男性は脳卒中が多く、女性は骨折・転倒や関節疾患が多い、ということが分かります。なぜこのような傾向の違いがあるのでしょうか。
脳卒中には、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つの種類があります。いずれも、脳の血管が詰まったり破れたりして、脳に障害が起きる疾患です。
その背景には、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病があります。会社の健康診断で血圧や血糖値が高いといわれた人は、放っておくとそれが積もり積もって脳の血管にダメージを与え、脳卒中のリスクが上がるのです。