最後の工程は「企業秘密」
仰々しいようにも見えるマスクと医療用手袋をつけての作業は、汚れがついてパックの重さが変わることを防ぐためだったのだ。
金属探知機の工程を飛ばしてはじめから重量を測り、軽すぎるものに関しては「レアカード封入なし」に仕分けすればいいようにも思える。しかし、オガサワラ氏はこう話す。
「カードやパックのフィルムのわずかな裁断ムラで、レアカードが入っているのに重量が軽くなる場合もある。そうしたパックの取りこぼしを防ぐためにはまずは金属探知機を使うようにしている」
重量の計測によって、パックをさらに3つのグループに分けると、残る工程はあとひとつだ。
それは時間と手間がかかるものの、パック内のカードのランクだけではなく、具体的な種類までを判別することができる方法だという。
「特別な装置は使わないが、作業をする人のノウハウと経験にかかっている」
オガサワラ氏は、それ以上の具体的な方法については「企業秘密」として、口を閉ざした。
入手したレアカードはメルカリで現金化
「Aグループから順番にサーチし、SR以上のランクのカードが出たら、そこでそのボックスのパックについては作業終了。まれにSR以上のカードが複数枚入っているボックスがあるけど、作業効率の面からその可能性については無視することにしている。
逆にSR以上のカードが入っている可能性が低いCグループまで全部サーチしてもSR以上が見つからなければ、第一弾のサーチで『レアカード封入なし』とみなしたパックを洗い直す。稀にレアカードが入っていても金属探知機が反応していない場合があるから。ただ、やはりまれにSR以上の封入がないボックスもあるのである程度のところで諦めるようにしている」
こうして入手したレアカードは、主にメルカリで現金化しているという。
「これまで3000ボックス以上を開封してきたが、何十万という値がつくようなカードにはお目にかかったことはない。最高のものでもせいぜい7、8万円くらい。数カ月から1年ほど寝かしてから売れば、価値が3~4倍になったカードもあったが、逆に無価値になるカードもある。どのカードが値上がりするかは誰にもわからないので、我々はできるだけ早く売却している。ただ、1つのボックスからは、平均して6000円から7000円ほどの値がつくカードが出てくる。1ボックスの仕入れ値は3000円前後で、サーチ済みのパックを売却すると2000円ほどは返ってくる。ということは、1ボックスにつき平均5000円は利益が出る計算になる」(オガサワラ氏)
ポケモンカード転売は、意外にも手堅い実入りがあるようだ。