検査をするほどいいわけではない

ここで早急に正しい診断をすることだけを目指すと、患者さんにさまざまな検査を強いることになりかねません。採血、心電図、レントゲン、上部消化管内視鏡(いわゆる胃カメラ)、腹部超音波検査、腹部造影CT、MRCP(MR胆管膵管撮影)などなど。

ここまで極端ではないにせよ、積極的に数多くの検査を行う病院もあります。また、そうした検査を望む患者さんもいます。でも、検査には苦痛や合併症のリスク、金銭的な負担というデメリットがあるのです。何でもかんでも検査すればいいとはいえないでしょう。残念なことですが、患者さんのためではなく、検査にともなう診療報酬や、誤診リスクを回避する「防衛医療」を目的として過剰に検査を行う病院もないとはいえません。

では、初診で最も重要なことはなんでしょうか。それは「緊急に治療を開始しないと致命的な結果を招く疾患」を見落とさないことです。ここでいう緊急とは、一分一秒を争うことです。「胃がん」や「膵がん」は早期治療が必要とはいっても、数日から数週間の治療の遅れはさほど問題になりません。一方で「急性心筋梗塞」を見落とすと、患者さんの生死にかかわります。初診時にさまざまな検査を行うよりも、緊急性の高い疾患をまず除外し、その後は経過を見ながら検査を追加していくほうがスマートな診療です。