ところでやりたいことが見つからないという子供たちが多いのも事実。そんなとき私は必ず「今、君にできることは何?」と聞くことにしている。するとほとんどの子が、「何にもできない」と答える。「それはそうだよ。だから学んでるんだろ」と語りかける。つまり、「できない」で終わるのではなく、できることをどう増やしていくのかである。その先に見えてくるのが職業で、その原点にあるのがどう生きていきたいかという夢なんだと思う。

私自身も、自分の弱さもあって高校を退学になり、父から勘当され、1人で北海道の高校へ入ったときには、自分に夢などなかった。「やりたいことが見つからない」どころか、「自分は何ができるのか」と自問したときに、「何もできない」のが現実だった。まず、生きるためには何をしなければいけないのかを考えた。自分に一番欠けているものは何か。それは高校中退という履歴書があるだけで、きちんとした知識の裏付けがない。これでは同世代の人間と競っても勝負はできない。自分は社会のことは何も知らないんだと気づいたときから、将来を意識した生き方が始まった。

再入学した高校は北海道で廃校寸前の私立高校で大学へ進学する人はいなかったから、「何考えてねん、義家」とみんなが笑っていた。だけど、私には帰る家もなければ、戻る地元もない。ならば生きるために俺は学ばなければならない、必ず大学に行くと自分を信じた。そのときに、たった1人、最初から最後まで「大丈夫よ。あなたの覚悟が本物なら叶うでしょう」と信じてくれたのが担任の先生だった。

だからまず子供と「自分のなりたい未来予想図は何なの?」という点を話し合うべきだ。例えばリストカットや不登校にしても、どうやってやめさせるかではない。その行為の原因となったものと向き合うことで解決するしかない。それと同じで夢を持たせるには、夢や希望、目的を持てない原因は何なのかをきっちりと話し合い、子供と一緒にその原因と向き合ってあげることである。

人間の価値は机と黒板の世界でいい成績を残すという、単純で短いタームで判断するものではない。今のわが子は、周りや社会と自分とに違いがあることを受け入れ、夢に向かいどう整合性をつけるかトレーニング中だと考え、信じ、励ますことである。

参議院議員、東北福祉大学特任准教授 義家弘介
1971年、長野県生まれ。明治学院大学卒業後、北星学園余市高校教師を経て現職。著書は『ヤンキー母校に生きる』など多数ある。
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(構成=吉田茂人 撮影=小川 聡)