ANAのDXを成功させた責任者がリテール業界へ

どの業界でも、デジタル経営を進めるうえで最大の課題が、デジタル人材の不足だ。デジタル人材とは、デジタル技術の知識を持つだけでなく、それを活用して新しい価値を創出できる人材を指す。たとえ社外から採用できたとしても、人件費が高騰し将来の経営リスクが高まる恐れがある。また、外部から登用した人材が自社のカルチャーになじむとは限らない。長期的な経営視点で考えるなら、社内で人材を育成するのが最適解なのは間違いない。

しかし、どうしたら、効率的にデジタル人材を育成することができるのか。そのヒントは、11月28日に開催されるPRESIDENT祭2025で明らかになる。

執行役 デジタル戦略統括部 グループシステム推進部長としてデジタル経営を進める野村泰一氏
執行役 デジタル戦略統括部 グループシステム推進部長としてデジタル経営を進める野村泰一氏

百貨店の大丸、松坂屋やショッピングセンターのパルコを傘下に持つJ.フロント リテイリング(JFR)。同社の執行役 デジタル戦略統括部 グループシステム推進部長としてデジタル経営を進める野村泰一氏は、DX業界で著名な人物だ。ANA在籍時にはデータ基盤やロボット、IoT、AIなどを活用して、顧客体験価値が上がるDX推進の陣頭指揮を執った。

なかでも、独創的なのはデジタル人材の育成法だ。ANA時代の野村氏は「イノ推(イノベーション推進部) 五輪の書」というDXの行動ガイドラインを策定し、経営層から現場まで意識改革を徹底した。「五輪書ごりんのしょ」とは剣豪、宮本武蔵が記した伝説の兵法書。理系だけでなく、文系の社員も関心を持つようにアイデアを駆使するのが野村流なのだ。現在はDXの先進的企業として知られるANAの礎を築いたのが野村氏であり、まさに「DX請負人」と呼んでも過言ではない。

2030年までに1000人育成する

2022年にJFRに移籍した野村氏は「2024年度までに現場の社員100人を“デジタル人財”にする」目標を掲げた。正直なところ、百貨店やパルコなどのリテール業界は、顧客とのアナログなコミュニケーションを大切にしていて、デジタルとは縁遠いイメージもあり、DX請負人といえども壁にぶち当たるのでは……と筆者は思っていた。

ところが、先日のミーティングで野村氏にお会いすると、「目標の100人はすでに達成した」と言う。しかも、ANA時代の「五輪の書」をバージョンアップした教科書「JFR花伝書」を作成してマインドセットを醸成するほか、教育プログラムを内製化しているとか。現在は2030年までに1000人の“デジタル人財”の育成を目指してまい進している。

なぜ、教育プログラムを内製化するのか

デジタル人材の育成には、外部の研修機関を活用する企業が多いが、なぜ、野村氏は教育プログラムを内製化するのか。その理由を「各店舗のリアルな事例やデータを教材とすることで、実践的に学ぶことができ、成長のスピードが上がるから」と語る。たしかに一般的な教材より身近に感じ、腹落ちもしやすい。そのうえ、野村氏が設計する教育プログラムは経営層から現場まで、全社員を対象としているため、圧倒的なスピードでデジタル経営を加速することができる。

本講演のタイトルはズバリ「JFRのデジタル人財育成と内製化レシピ」。野村氏の育成法はどの業界でも再現性があり、デジタル経営に苦手意識のある企業も、すぐに導入できるものだ。しかも「レシピ」とうたっているように、基本の調理法を知れば、あとは企業ごとに味付けをし、最適化することができる。

DX請負人がどのようなレシピを披露してくれるのか。本講演はデジタル経営をスピーディーに進める知恵を学ぶ貴重な機会となる。

開催概要

日時:2024年11月28日(木)
開場・受付 12:30 開演 13:00 終了 19:20(予定)

会場イイノホール
東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング4F
●東京メトロ 日比谷線・千代田線 「霞ケ関」駅 C4出口直結
●東京メトロ 丸ノ内線 「霞ケ関」駅 B2出口 徒歩5分
●東京メトロ 銀座線 「虎ノ門」駅 9番出口 徒歩3分
●都営地下鉄 三田線 「内幸町」駅 A7出口徒歩3分

参加費:1,500円
※オンライン配信の予定はございません。

定員:350名
※定員になり次第、締切となります。

主催:プレジデント社

協賛:株式会社インターネットイニシアティブ、株式会社KAKEAI、日本たばこ産業株式会社、株式会社日立ソリューションズ、株式会社みずほフィナンシャルグループ

※イベントレジストをはじめてご利用の場合、来場のお申込みに新規会員登録が必要です。
※既に会員登録をいただいている方はイベントレジストにログイン後、チケットをお申し込みください。
 

本講演の留意点

タイムスケジュールについて
タイムスケジュールなどは予告なく一部変更になる場合がございます。予めご了承ください。

動画・写真撮影について
イベント当日は記録・広報等のため、動画・写真の撮影を行います。撮影した素材は弊社メディアでの配信や掲載に使用する場合がございます。予めご了承ください。

参加者の撮影・録音・録画について
講演中の撮影・録音・録画は一切お断りしております。予めご了承ください。

(文=真野裕之)
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