2024年上半期(1月~6月)にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2024年4月29日)
安定的な皇位継承に向けて、政治的な議論が山場を迎えつつある。評論家の八幡和郎さんは「政府の有識者会議が出した皇族数を確保するための2案はいずれもメリットがある。佳子さまと愛子さまのご結婚までに結論を出す必要があり、各党はいち早くコンセンサスを形成すべきだ」という――。
公務の担い手不足が皇室の課題に
長年の課題だった皇族数の増員を図る方策がようやくまとまる目処がついてきた。皇室では秋篠宮殿下のあと9人連続して女子の誕生が続き、悠仁さま以外に次世代の皇位継承権者がおられない。また、皇族の高齢化や雅子さまの体調不良もあって、公務の担い手が不足している。
そこで、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の付帯決議に基づき、「皇位継承に関する有識者会議」(座長は清家篤・現日本赤十字社理事長)が設置され、2021年12月に報告が提出されている(「愛子天皇」の可能性は本稿の末尾で言及)。
ここでは、①とりあえず愛子さまや佳子さまが本人だけ結婚後も皇室に残れるようにする(「単独残留案」)、②皇族が旧宮家の子を養子にする(「旧宮家養子案」)という案をまとめた。
単独残留案と旧宮家養子案は「妥当」
この2案について4月、安定的な皇位継承の確保について議論してきた自民・公明・維新・国民民主の4党が「妥当」と判断したため、今後、必要な法整備に向けた政治的な動きが進んでいくことになる。
ただし、有識者会議では、細かく具体論をすることは避けた。悠仁さまに男子が何人生まれるか、佳子さまや愛子さまが皇室に留まられてもお子さまがどうなるかで、議論の前提が変わるからだ。
悠仁さまに何人も男子が生まれたら、当面のあいだは皇統断絶についての議論は必要でなくなるし、女子だけが生まれたら、その女子か旧皇族から養子になった男子との競合になる。佳子さまや愛子さまが結婚後も皇室に残留しても、お子さまがなかったら、いまの女系論は存在し得ない。