収量を増やし、高価格・高付加価値になるビジネスモデルをつくる

そのうえで、買取価格をきちんと上げられるようなビジネスモデルをつくることも必要だ。

「松尾栗園の場合は、緻密な計算のうえで冷蔵貯蔵し、栗の糖度を最大限まで引き出したうえで、自分で丁寧に栗を焼き上げることで高付加価値な加工品をつくり、なるべくダイレクトに消費者のみなさんに届けるやり方でした。

いずれにしても、収量を増やすことと、高価格・高付加価値になるようなビジネスモデルをつくること。その両輪が回って、初めて商売として成り立つと考えています。アドバイザーとしてそこまで持っていき、この産地化プロジェクトを成功に導きたいと日々、努力しています」

丹精込めて育ててきた栗畑の一部は地元の農業仲間が引き継ぐことに
画像提供=松尾和広氏
丹精込めて育ててきた栗畑の一部は地元の農業仲間が引き継ぐことに

能登に残してきた栗農園は、農業仲間が引き継いでくれることに

能登にある松尾栗園の栗農園はどうするのだろうか。

有坪民雄『農業に転職! 就農は「経営計画」で9割決まる』(プレジデント社)
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「能登にある僕の栗農園は3つあって、そのうちの1つは地割れなどでアクセスできない状況で、活用は難しいと思います。残りの2つは、能登でできた2人の農業仲間が引き継いでくれることが決まりました」

2024年の分は能登の友人宅に泊めさせてもらいながら、松尾氏自身で収穫作業をし、焼き栗の作業ができる静岡県へ宅急便で送っている。2025年からは農業仲間に生産と収穫を任せ、そこでできた栗は彼らが儲かる金額で買い取り、静岡県で焼き作業を行い、加工品として販売していくことを計画している。

「いずれにしても、僕はみなさんのサポートのおかげで、これからも栗に関わり続けていくことができます。恩返しの意味も込めて、これまで以上に栗の存続と発展に貢献していきたいと考えています」