400人超の女性が大奥にひしめいていた

中奥と大奥のあいだは、上下二つの御鈴廊下だけで結ばれていた(ただし下御鈴廊下は江戸中期以前の記録にはない)。この廊下の入口は御錠ごじょう口といわれて杉戸が立てられ、中奥と大奥それぞれの側に鈴があって、将軍が入退出する際に鳴らされた。

大奥は大きく分けて、将軍やその御台所、将軍の生母らが暮らす「御殿向ごてんむき」、大奥に仕える大勢の奥女中が暮らす「長局向ながつぼねむき」、大奥の事務をつかさどる「広敷向ひろしきむき」と、三つの領域に分かれていた。