「学校には行かないかも」と予感していた母

「どうする?」というのは、言うまでもなく「小学校、行く?」という意味です。一般的に考えれば、小学校に行くも行かないもありません。基本的には誰もが行くものであり、親が子どもにわざわざ意思確認すること自体、なかなかないでしょう。

でも母は、こだわりが人一倍強く、頑固で、保育園をすぐに辞めたりしてしまった息子に何か思うところがあったのかもしれません。入学通知書には入学予定の公立小学校が記載されていて、決められた期日までに必要事項を記入して、その指定小学校に提出しなければいけないことになっていました。

「どうする? 行く?」
「いや、行かないよ」

私は、一切迷うことなく即答しました。

「小学校には行きたくない」

私は、まったく迷うことなく即答しました。

「えっ! 本当に行かないの?」

私の言葉に母は少し驚きながらも、その後、「小学校に行かせる」か「本人の意思を尊重する」か、父と話し合ったそうです。母に当時の話を聞くと、「“学校に行かない”というかもしれない」という予感はあったと言います。

高校
写真=iStock.com/coffeekai
※写真はイメージです

ホームスクーリングという選択肢を知っていた

当時、私は6歳。世の中のことを何ひとつ知らない子どもでしたが、「行かない」と断言できるくらい、私の中には確信めいたものがありました。

「小学校は行かないほうがいいだろうな」
「自分にとっては、行かないほうがいいところだ」

保育園での出来事も、少なからず影響していたとは思います。

もうひとつ、身近な存在として「ホームスクーリング」をしていた知り合いがいたことも、私にとって大きかったと思います。外国人のお父さんと日本人のお母さんを持つ年上の友人がいたのです。

ホームスクーリングとは、学校に通学せず、自宅を拠点として学習を行う教育形式のこと。日本では、現在もそこまで浸透したスタイルではなく、海外でもその受け入れられ方は国によって様々です。アメリカなどホームスクーリングが広く認知されている国では、法律的にも権利を認められています。