金融業者が胴元として一人勝ちするという構造は、バブルの中で鮮明に浮かび上がる。

それは、世界初のバブルである1630年代オランダのチューリップバブルのときにすでに始まっていた。

球根ひとつに数千万円の値が付き、富裕層から一般庶民にいたるまでが投機に熱中して、そしてバブル崩壊で軒並み破産者になった。

しかし、なぜ庶民がそんな高額投資に手を出すことができたのか。

当時、チューリップの球根は、現物の取引が中心だったが、途中から一部の高額球根には「所有権証明書」が発行されるようになり、球根そのものがまだ土中にあっても取引が可能になった。現代の言葉で言えば、セキュリタイゼーション(証券化)が行なわれたのだ。

そのことによって、チューリップの球根の所有権は分割できるようになったのだ。金融業者が発明したこの仕組みによって、庶民は高額球根投機の輪に加わることができた。それだけではない。金融業者は投機のための資金を融資して、バブルを煽ったのだ。

破産者になる人の共通点は…

バブル崩壊で破産者になる人の多くに共通するのは「借金で投機をした」ということだ。

自己資金だけで投機を繰り返したあとでバブルが崩壊しても、最悪自分の資産をすべて失うだけだが、借金で投機をするとそれだけでは済まない。

バブル崩壊時に資産は暴落するが、借金は一切減らないからだ。だから、「借金で投機」は絶対に禁物なのだ。

ただ、そんなことは投資の世界では常識中の常識だ。そこで胴元は、自動的に借金をさせる手段を考え付いた。それがレバレッジ(テコの原理)だ。

森永卓郎(67)「私が“レバレッジ投資”に絶対に手を出さない理由」〉へ続く

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