「出入り口は宝の山」と語る第一人者
橋本が初めて鑑識課に勤務したのは1973年。機鑑の前身である現場係に就いた。当時の階級は巡査部長。以来、異動で署の刑事課長となったり、警察大学校に入校したりするなどして鑑識課を出た時期もあるが、警視までの全階級で鑑識課に所属し、刑事事件の捜査を第一線で支え続けた。まさに事件現場の第一人者だ。
現場の店舗に到着した橋本らはまず、人が近づかないよう出入り口を青色ビニールシートで囲い、最優先で出入り口の検証、採取作業に取りかかった。機鑑の車にサイレンが付いているのは、誰よりも早く現場に着いて鑑識活動にとって大事な場所を押さえるためだ。現場に出入りする捜査員が誤って触れることもある。人の出入りが多い店舗などが現場だと、出入り口を真っ先に押さえるのは鑑識現場の常道だという。橋本も「出入り口は宝の山」と語る。
このときの出入り口での指紋採取には、アルミニウムなどを調合した試薬の粉末をふり、刷毛でなぞって指紋に付着させてゼラチン紙などに転写させる「粉末法」が使われた。採取には橋本自らが当たった。粉末の主成分はアルミの微粉末だが、湿度などの気象条件によって粉末の選定や配合を変えるという。刷毛の使い方も採取結果を大きく左右する。経験こそがものをいう作業だ。
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