キラキラした裏番組と熾烈な競争を繰り広げる

月曜22時の同時間帯。汐留の局のその番組は7人の腕利きの芸人たちがしゃべりまくるもの。2008年にスタートしてから、徐々に話題を呼び、人気になり始めて、かなりのヒット番組に成長していた。

その7人の番組の視聴率はどんどん上がっていき、僕たちが作る5人の番組と熾烈しれつな争いを繰り広げていた。

7人の番組の方が勢いがあるように見えた。若者世代はそっちを見ている空気感があった。

以前こっちの番組にゲストで出演していた俳優がその番組に出ると、悔しい思いがした。

キラキラして見えたからだ。

視聴率を下げないため、古く見えないため、僕たちは必死だった。マイケル・ジャクソン以降、ハリウッドの俳優・女優や海外アーティストのキャスティングにさらに力を入れた。

強いゲストを入れて視聴率を落とさないようにする。ゲストに頼り、ゲストに依存する作りになっていった。

彼ら5人のファンは、ゲストではなく、5人のトークや5人がおもしろく見えることを望んでいる。そのことは分かっていたが、僕は「ファンに愛されることはもちろんだけど、彼らに興味のない人ももっと振り向かせないと、視聴率が上がっていかない」と思いこんでいた。

「5人だけで旅をする企画がしたいんだよな」

リーダーは、よくチーフプロデューサーの黒林さんに言っていた。「ゲストはもちろんありがたいんだけど、この番組は俺たち5人が毎週ゲストなんだよ」と。

言っていることは分かってるつもりだったが、それでも「ゲストに頼らないと勝てないんだよ」と思っていた。現実は甘くないんだと。

2013年。彼らがグループを結成してから25年が経った年だった。

ある時、楽屋でリーダーが黒林さんに言った。

「5人だけで旅をする企画がしたいんだよな」

本当に5人だけで旅をするような企画をスペシャルでやりたいと。

それを今の番組でやったらとてもおもしろいと思うと。

「世の中は俺ら5人が仲が悪いと思ってるんだよな。だからやりたいんだよ」