築30年をメドに買い換えを考えるのも手

そうなってしまうと、対応策をとることがかなり難しくなるので、そうなる前に対応策を考えておくのが安心。それなりの価格帯で売却できるうち売却して、新居に買い換えてしまうわけだ。

そのメドになるのが、築30年ではないだろうか。築40年以上になると、先に触れたように建物、所有者の高齢化が抜き差しならない状態になりかねないので、そうなる前に、実行するのが安全だ。

マンションは、当然ながら築年数が長くなるほど、売却可能な価格が下がってくる。公益財団法人の東日本不動産流通機構の調査によると、首都圏の中古マンションの築年数帯別の成約価格は図表3のようになっている。

首都圏全体では、「~築5年」の築浅物件は8170万円。民間調査機関の不動産経済研究所のデータによると、2023年上半期の首都圏新築マンションの平均価格は7677万円だから、それより高い価格で取引されている。

新築マンションが減少し、エリアによって希少性の高さから、新築マンションの相場より高値で取引されるケースもあるようだ。

それが、築年数を経るごとに、成約価格が低下、「~築20年」では5000万円台に、「~築30年」では4000万円台に下がり、「築30年~」は2439万円になる。築30年以上の築古マンションは、築5年以内の築浅マンションの3分の1以下の価格帯まで下がってしまうわけだ。

【図表】首都圏中古マンションの築年数帯別の成約価格の平均(単位:万円)

郊外ほど築年数による低下幅が大きくなる可能性

そうなる前、築30年までに売却すれば4000万円台で売れる可能性が高いわけだから、買い換える場合には、資金繰りにかなりゆとりができるのではないだろうか。

この築年数による価格の低下、エリアによって異なっている。ハッキリいえば、価格帯の高いエリアほど築年数による値下がり率が小さく、価格帯が低いエリアのマンションほど値下がり率が大きくなるのだ。

先の図表3にあるように、首都圏で最も価格帯の高い東京都区部は、「~築5年」が1億0541万円で、「築30年~」は3637万円。築浅と築古の格差は2.9倍だが、首都圏で成約価格が一番安い埼玉県ではこの格差が大きくなる。

「~築5年」は5604万円に対して、「築30年」は1306万円だから、格差は4.3倍になる。築年数による値下がりカーブが大きくなるわけだ。

それだけに、価格の安いエリアほど、経過年数が30年になる前に売っておくのが安心ということになる。

公園のベンチに座るシニアの男女
写真=iStock.com/skynesher
※写真はイメージです