管理費と修繕積立金で月10万円のマンションも

なかには、管理費や修繕積立金の支払いもままならないという人も出てくる。先に紹介したヴィンテージマンションでは月額の管理費が5万円、6万円で、修繕積立金と合わせると月額10万円も珍しくない。比較的リーズナブルな価格帯のマンションであれば、3万円、4万円などのところが多いが、それでは老朽化したマンションを快適な状態にするのは難しく、日常の管理も行き届かない部分が出てくる。

なかには、管理費や修繕積立金を支払えず、延滞する所有者も出てくる。図表2にあるように、1984年以前完成のマンションでは、3カ月以上の滞納がある住戸がある割合は43.5%に達している。なかには、空室になり、所有者の所在が不明になっている住戸もあり、そうなると、管理費や修繕積立金の徴収は簡単ではない。書面での督促からはじまって、対面での督促、それでも支払われない場合には、強制執行などの法的措置などをとることになるが、それには手間ヒマや費用もかかり、徴収は簡単ではない。

対策にはたいへんな手間ヒマがかかり、管理組合、管理会社には大きな負担となる上に、解決できず、放置せざるを得ないケースも少なくない。

【図表】完成年次帯別の管理費または修繕積立金の滞納(3カ月以上)の有無と滞納住戸割合

スラム化して近隣に迷惑をかける可能性も

管理費や修繕積立金の延滞や空室が増えると、いよいよ維持管理が難しくなり、計画的な修繕計画の実施も困難になる。

外観の傷みが目立ち、日常的な管理も十分におこなえないようになって、マンションの老朽化が加速することになる。具体的には、各種設備に不具合が発生して、生活しにくくなり、建物が危険な状態になる。結果、退去者が増加して、住む人が減少してスラム化する。そうなると、当然ながら売却しようとしても買い手はつかず、資産価値は下がる一方だ。

もちろん、建て替えなどできないので、ほかに住居を手当できない場合、そのまま住み続けるしかない。仮にほかに住居が見つかっても、所有し続けるしかないので、固定資産税の負担がついて回り、ひいては相続人にも迷惑をかけることになってしまう。

最悪の場合、空室になった居室に無断で人が入り込んで、犯罪の巣窟になってしまうリスクもある。また、いつ外壁や外部階段の手すりなどが落下するかわからず、近隣に迷惑をかけることにもなりかねない。

外観が損なわれ、景観を損ない、地域のイメージダウンにつながる。