「もうあそこには住めない…」大谷翔平の12億円新居を報じてもLAタイムズが非難されないワケ《米国在住ジャーナリストが見たフジテレビと日本テレビとの相違点》(飯塚 真紀子)

「もうあそこには住めない」大谷翔平選手が購入したばかりの785万ドル(約12億円)の豪邸について、こう言及したと米メディアで報じられている。いったい何が起きたのか?

なるほど、ラ・キャナーダ・フリントリッジね! 

ロサンゼルス・タイムズ紙が、大谷翔平選手が同地に豪邸を購入したことを報じた時、そう思った。妙に納得してしまったのは、セレブが多数居住する世界的に有名な高級住宅地ビバリーヒルズなどではなく、あまり知られていないラ・キャナーダ・フリントリッジだったからだ。

LAタイムズは問題なくフジテレビと日テレは問題視されたワケ

大谷選手が豪邸を購入したラ・キャナーダ・フリントリッジなら、ツーリストたちはさすがに訪れないのではないか。プライバシーを大事にする大谷選手はなかなか賢い選択をしたと思ったのだ。

ところが、である。大谷選手ファンは同地まで足を運んでしまったようだ。フジテレビの「イット!」によると、豪邸には多くの観光客や地元の人々が訪れる状況が起きているという。この背景には、日本テレビやフジテレビが、豪邸の前まで行って住所が特定できそうな撮影をしたり、近隣住民にもインタビューしたりするなどして、プライバシーを配慮しない行き過ぎた報道をしたことがあるようだ。

こう書くと、こんな声も聞こえてきそうだ。アメリカのセレブの豪邸写真はよく掲載されているじゃない? 確かに、米国のメディアの中にはセレブの豪邸写真を掲載するところはある。そもそも、今回、大谷選手の豪邸を最初に掲載したのはロサンゼルス・タイムズだった。しかし、それは空撮写真。実際、セレブの豪邸写真をみると、たいていは空撮されたもので、住所までが特定できそうな至近から撮影したものはあまり見られない。

例えば、2010年、飲酒運転による交通事故と愛人たちとの不倫問題で“渦中の人”だったゴルファーのタイガー・ウッズが離婚後、フロリダ州に5400万ドルの豪邸を購入した際も、空撮写真はよく掲載されていたが、住所が特定できそうなストリートから撮影した写真や映像は目にしなかったように思う。