「苦しい情熱」ではなく「集中しやすい情熱」
物事を成し遂げるには情熱が必要です。
脳科学の研究で、情熱にも大きく分けて2種類あることがわかってきました。ひとつは「個分離思考の情熱」、もうひとつは「共同体思考の情熱」といいます。
もともと「個分離思考」とは「共同体思考」と共に、数々の論文や研究結果をもとに僕が見つけ出し、名づけたものです。個分離思考は相手と自分を個として分離して捉えます。このため、二元対立の関係を作りやすくなってしまいます。
つまり、「個分離思考の情熱」とは、強迫観念で「自分がこれをやらねばもう命がない」といったように、完全にFF状態(Fight or Flight:闘うか・逃げるかの状態)に入って、一生懸命やろうとしている状態です。
この情熱では、一時はうまくいっても、長く続かなく、何よりとても苦しい。それに対して「共同体思考の情熱」は、仲間と調和を保ちながらみんなでお互いにエネルギーを高め合って新しい道を切り開いていくことです。
この状態だと、リラックスした集中のフローに入りやすいので、物事がサクサク進められます。
同僚と深い信頼関係を築けていますか?
卑近な例になりますが、僕たちの例をお話しさせていただきます。
ここ数年、かなり大変なことが僕と妻の身の回りには起こっていました。
僕の母が亡くなって、それから妻の父が亡くなりました。そして、妻の母が認知症になって……という状況が続いていました。
しかし、「脳磨き」を少しでも広めたいという情熱をもちつづけ、「脳磨き検定」を開発しました。世界的にも前例がないものです。地図も羅針盤もなく、大海原を航海する気持ちで開発を進めてきました。
AI時代にふさわしい、多くの方にご活用いただける非認知脳力の検定になるとの思いで、大変な開発を続けることができました。
大変なときにありがたいのは、心の安全基地です。検定開発に情熱を燃やしつづけられたのも、一緒に「脳磨き」をしている仲間が心の安全基地になってくれたからです。
だから、共同体思考の情熱をもちつづけられました。
「脳磨き」の仲間には言葉で伝えきれないくらい感謝の気持ちを、僕も妻ももっています。
やはり、共同体思考の情熱を燃やしつづけるには、仲間との深い信頼関係、心の安全基地が必要なんだというのを実感しました。
仲間の存在って本当にありがたいなと、改めて思うところです。