ビジネス英語で論理思考ができるか

ひとくちに「英語の上達」といっても、大きく3つのレベルがあると大前氏は説明する。

「まず、TOEICで850~900点の人は筋肉と体力をつける器械体操の段階。語彙などが増え、一定の体力がついた状態」。大前氏のいうペーパーライセンスはこの辺りだろう。

「第2段階は、ロジカル・シンキング(論理思考)ができるレベルです。事実に基づいて起承転結を論理的に記述できる能力です。英語に限らず、日本語でも非常に重要なスキルです。I love you,because I love you.では論理になっていません。恋人同士ならともかく、ビジネスでは通用しません」

例えば、会議で同僚が提案したアイデアに納得できないとき、Because I don't like it.では理由になっていないのだ。

「誰が聞いてもなるほどと思うようなエビデンス(根拠)を持ってこなければいけないのですが、日本の教育ではまったく教えていません。A=B、B=Cならば、A=Cというのが論理学の基本。例えばトヨタはハイブリッドのチャンピオンである。ハイブリッドは世界の主流である。したがって、トヨタは世界の主流になる、といったものです。英語では、このロジックが非常に理解されやすいのです」

「ロジカル・シンキングに裏打ちされた英語を磨くには、上司役と部下役のようにロールプレーイングを通じて会話の練習をするとよいでしょう。あるテーマの議論になったときには、自分はどういうふうに主張するのか、上司がこういうふうに言ってきたときには、自分はこういうふうに言う――。シチュエーションを設定して、ロジカル・シンキングによる会話をとことん練習し、慣れることが大切です」