「スマホの修理を他のところにやらせないようにしている」

そんな日本でいま、「リユース」の商品が人気となっている。

新品の価格が高くなっているが、リユース商品は手ごろな価格で入手できるほか、循環経済(サーキュラーエコノミー)の観点からも注目されている。家電や衣類などの中古品を必要に応じて修理など手を加え、再販売するリユース市場は年々拡大している。リユース経済新聞は、リユース市場が2022年に約2兆9000億円となり、30年には4兆円になると推計する。

環境省サイトは、主要な製品ごとにリユースの有無で、①平均使用年数、②長期的な廃棄物削減効果、を試算している。

冷蔵庫は、リユースしない場合は①が11.6年で、リユースした場合は12.2年、②は年間23万台になる。同様にパソコンは①の6.3年が6.7年に延び、②は年間100万台になるという。パソコン100万台は年間国内出荷台数の7%近くに相当する。

身近な存在のスマホは、機種やグレードにもよるが、高機能化して値段も高くなっている。スマホは画面にひびが入るなど傷つきやすいほか、バッテリーが経年劣化しやすい。それでも、モバイルバッテリーを持ち歩くなど、多少の不便は我慢してスマホを使い続ける人は少なくないようだ。

スマートフォン内部をいじっている手元
写真=iStock.com/airdone
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スマホ市場などをみているMM総研の篠崎忠征研究部長は「スマホの買い替えサイクルは長くなっている。今後も長くなるだろう」と話す。MM総研は「スマートフォン修理市場に関する調査(22年度)」で、同年度の修理台数が約353万台となり、稼働台数全体の3%程度とみている。

前述したように修理して使用しているのが稼働台数全体の3%程度だが、スマホの高額化、買い替えサイクル長期化で、修理需要も高まる中、いささか数字が小さすぎる印象がある。バッテリー劣化や画面の傷などを直したい人は3%程度にとどまらないのではないか。

スマホの修理について、前出の得平さんは「メーカーが他のところにやらせないようにしている」とみている。MM総研の篠崎さんも「メーカーは自分たちのところで修理してほしい」と話す。メーカーが修理を自社グループに囲い込むことで、競争原理が働かず、修理費が高くなっている可能性は否定できない。