私は怒鳴った。男性2人はそれぞれに向かって悪態をついていたものの、どうやら多少は落ち着いた様子だ。
ケンカの原因もきっと些細なことだったのだろう。殴り合っていた男性2人に距離をとらせながら、そのグループは「スプラッシュ・マウンテン」待ちの列に戻っていった。
すぐに一件落着し、それ以上からまれたり、再び騒ぎになったりすることもなかったので、事を荒立てる必要もないと判断し、このことは同僚や上司にも伝えなかった。“夢の国”での殴り合いを目撃したのは、あとにもさきにもこの一回きりである。
ディズニーで禁止されていること
「殴り合いの禁止」は明記されていないが、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーのガイドマップには「お願い」としてさまざまな禁止行為が記載されている。
持ち込みが禁止されているのは「酒類、カン・ビン、持参した食べ物」で、これは今や広く知られている。
自宅で作ってきたお弁当も、パーク内では食べることが禁止されていて、パークの外にあるピクニックエリアでしか食べられない。持参した食べ物の持ち込みは原則禁止とはいえ、おにぎりやお菓子程度をこっそりと食べるのであれば、黙認されているのが実情である。
「野鳥などの動物へのエサやりや手を触れる行為」も禁止だ。知ってか知らずか、エサやりをするゲストは多い。子どもがよくポップコーンなどをあげていて、これも多少なら黙認していた。
ハトやスズメはポップコーンだけでなく、地面に落ちたピザやスモークターキーレッグなどなんでもよく食べた。彼らにとって、ここは天敵もおらず、食べものも豊富な“夢の国”なのかもしれない。
〈「夫と子どもを置いて、家を出て上京しちゃいました」姑が厳しすぎて家を脱走→東京に逃げた50代女性が「ディズニーランド」で働くことを選んだワケ〉へ続く