「ベストな就職先」は自分で探すしかない

「なぜ大人はどの会社に入ったらよいのかを、教えてくれないのか」

これは僕が学生のときに感じていた不満だ。

この世界はゲームみたいなものだと感じていたし(これは今でもそうだけど)、どこかに攻略法があるのではないかと思ってそれを探していた。

だが、ついに見つからなかった。そこかしこにヒントは散りばめられているものの、人生というゲームは、自分で試行錯誤しながら攻略するしかないんだ。

僕はサラリーマン時代、金融機関で財務分析を仕事にしていたこともある。会社にお金を貸すにあたって、返す能力があるかどうかを、その会社の過去の決算書などを調べて判断する仕事だ。お金を返してもらうのは何年も先だから、過去の実績だけではなくて、将来性も判断する必要がある。この会社はよい、こっちの会社は悪い、なんて偉そうに判断していたものだ。でも今、白状する。あの頃の僕は、何にもわかっていなかった。

都心のビル群
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就職できるのは結局、1社だけ

この先、君が就職をするなら、将来性のある会社がよいだろうとは思う。ここ最近の売上や利益よりも、向こう何十年伸びる業界で、勝ち続ける会社がよい。その会社が小さいうちに入社しておいて、大きくなる頃には部下がたくさんいる、それが理想だろう。

だがこの戦略には、一つ問題がある。将来のことは誰にも予想できないんだ。さっきも書いたけど、どの業界が伸びるか、どの会社が勝ち残るか、そんなことは実のところ全くわからない。予想をしても、ちょっと外す程度で済むこともあるけど、そんなレベルじゃないことばかり。全くわからないんだ。

これが投資だったら、よさそうないくつかの業界の、いくつもの会社に分散して投資をしておけば、その中のどれかが大当たりになる可能性はかなり高い。

しかし就職できるのは1社しかないので、これを確実に当てるなんてことは誰にもできない。僕が今、どこか特定の会社のあらゆる情報を入手して判断しても、予想はまず当たらないだろう。