不登校になる真の原因

私は、不登校の根本的な原因は「正しい親子関係が築けていないこと」であり、その背景に現代の社会構造があると考えています。

「正しい親子関係」とは、親が家庭の主導権をにぎり、ダメなことはダメと言う厳しさもありながら、愛情深くあたたかく子どもを守ることのできる関係です。もちろん、ほとんどの親は我が子に愛情を持って接していることでしょう。私たちのところへ相談に来る親御さんたちを見ても、本当に子どものためを思っており、愛情を持っていることがよくわかります。

ですから、私は不登校の原因は親にあると言いたいのではありません。親からの愛情が伝わりにくく、正しい親子関係が築きにくい構造が、現代の日本にできてしまっているということなのです。

「無気力・不安」が51.8%

ここで文科省が発表している調査による「不登校の要因」を見てみましょう。実はもっとも多いのは「無気力・不安」(51.8%)。次いで「生活リズムの乱れ、あそび、非行」(11.4%)です。

【図表3】不登校の要因(主たる要因として多いのは下記のとおり)
図版=『不登校の9割は親が解決できる』(PHP研究所)より

不登校の原因としてイメージしやすい「いじめ」は、最下位の0.2%しかありません。私たちのところへ相談に来る方たちも、いじめが原因で不登校になったケースは少ないです。文科省のデータよりはやや多いですが、3%くらいでした。

現代の不登校は、いじめなどの明確な理由で学校に行けなくなっているというより、「なんとなく不安」「なんとなくだるい」といったことが要因になっているのです。