災害リスクの高いエリアは資産価値が下がる?

冒頭でマンションの管理力を測るポイントとして「組合運営力」「メンテナンス&資金力」「コミュニティ&住み心地力」について解説しましたが、ここからは4つ目の「防災力」について詳しく掘り下げていきましょう。

2024年の元日に発生した能登半島地震の大きな被害は記憶に新しいところですが、災害大国・日本では地震や津波、高潮、台風・暴風雨、洪水、土砂災害といった自然災害が後を絶ちません。

冠水した道路
写真=iStock.com/iiievgeniy
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近年は気候変動の影響で、災害の規模は激甚化しており、これから住まいを選ぶのであれば、被害を最小限にとどめられそうなエリアを探したり、マンションであれば防災対策を入念に行っているところを選ぶ視点が不可欠となります。

近い将来には、災害リスクの高いエリアにある不動産の鑑定評価が下がる可能性もあります。これまでの日本では、災害リスクの高低が不動産鑑定評価に反映されてきませんでした。しかし、実際に災害で被害を受ければ確実に資産価値は下がるため、あらかじめリスクを反映して評価をしておかなければ合理的とは言えません。

災害リスクの高低に応じて火災保険料も変動する

ちなみに2024年、これまで全国一律だった火災保険の水災部分の保険料が、エリアごとの災害リスクの高低に応じて変動する予定です。たとえば、低地で河川の氾濫の影響を受けやすいエリアは保険料が高く、そうでないエリアでは安くなり、もっとも高いところでは低いところの1.5倍程度の保険料になるとされています。

今後は、不動産鑑定評価も保険と同じように、災害リスクの高低で評価を変動させる動きが出てくるでしょう。すでに国土交通省も「実際に災害が起こったとき、その不動産にどの程度の損失が見込まれるか」などを計算し、不動産鑑定評価に適切に反映すべきとの見解を示しています。

資産価値が目減りするかもしれず、さらに保険料まで高くつくケースがあることを思えば、災害リスクの高いエリアの不動産をわざわざ選ぶのは得策ではありません。

エリアごとの災害リスクを知るためには「ハザードマップ」が役に立ちます。ハザードマップは各自治体が作成するもので、洪水ハザードマップのほか、都市の排水能力を超える水量が下水道に流れ込み、下水が逆流して起こる内水氾濫や、高潮、津波、土砂災害の危険エリアを表示するもの、火山の噴火による影響が及ぶエリアや、ため池の決壊時の浸水エリアを表示するものなど、さまざまな種類があります。