「大企業らしさ」と「中小企業らしさ」を併せ持つ

おもちゃ店から始まり、街の自転車店、プロショップ、そして全ジャンルを取り扱う大型店に変化を遂げながら成長を続けてきたサイクルベースあさひ。「ママチャリ」をはじめとする一般用、プロ向けの本格スポーツタイプ、子供用、国内ブランド、海外人気ブランド、自社PBまで、自転車のことなら何でもお任せだ。その着実な成長の背景には、「大企業らしさ」と「中小企業らしさ」、2つの強みを併せ持つマーケティング戦略によって、オンリーワンの自転車店になっている点があげられる。

大企業らしさは、店・組織・ビジネスのスケールの大きさを活かした強みだ。サイクルベースあさひは、15万人以上の商圏人口エリアに、広い駐車場・売り場・メンテナンススペースを確保した大型店舗を出店していくことを基本戦略としている(※5)。その広い売り場には、自転車・パーツ・アクセサリーを種類も色も大量に揃えている。

ライバル店の多くは、限られた売り場スペースを効率よく使うために、売れ筋の色だけ展示して他はカタログ参照、という売り方が一般的だ。しかし、サイクルベースあさひは、お客に「自転車を選ぶ楽しさ」を体験してもらいたいと考え、色のバリエーションを豊富に用意し、1000台にものぼる自転車を陳列している(※7)。大型店舗ならではの広さ、多店舗展開ならではの在庫保有力があってこそ実現できる強みだ。

自転車屋の店内
写真=iStock.com/RyanJLane
※写真はイメージです

PBの商品開発でも発揮される「大企業らしさ」

大企業らしさは、自社PBの商品開発でも存分に発揮されている。サイクルベースあさひは、SPAとして、自社でデザイン・設計から商品開発を手掛ける。海外の部品メーカーには、日本からスタッフを送って現地の意識改革・技術向上を行いながら、自転車に使うネジ一本まで指定して、品質管理を徹底したこだわりのPB自転車を製造している(※3、5、7)

全国500以上の店舗は、商品を売る場としてだけでなく、お客の声・要望・困りごとから新しい商品アイデアを見つける場としても有効活用されている。現場から年間、数百件規模であがってくる提案をPB開発に活かして、サドルの盗難を防ぐワイヤー、よりオシャレなハンドル用防寒手袋、内臓方式でギアの外れにくい子ども用マウンテンバイク、ビジネスバッグが入れやすいカゴの通勤用自転車など、お客の本音に応えたPB商品を展開している(※3、5、7)