「飲み会への参加」はお値段以上の買い物

大事なことなのでなんどでも強調するが、「偉いオジサンの気分やノリで、わりと大事なことが決まってしまう」という身も蓋もない因習がこの社会にはある。それが良いか悪いかは別として、事実としてあるものはあるのである。

この構造自体の是非を問う議論は別個に存在するだろうが、たった5000円・3~4時間のコストを支払うだけでも、この因習によって自分が受ける影響が必ずしも悪いものばかりでなくなる(確率が上がる)と考えたならばどうだろうか。「飲み会への参加」というのはお値段以上の買い物であるといえるのではないか。

ビールと日本の居酒屋人気プレート
写真=iStock.com/ahirao_photo
※写真はイメージです

もちろん飲み会で偉いオジサン連中に媚びているだけで青天井に評価を高められたり分不相応な重役に抜擢されたりするほど会社組織は甘くない。結局最後は「働き」で評価されるものだ。そこは留意しておきたい。とはいえ、「働き」それ自体が優秀なのに、イマドキのSNSの論調に感化され「飲み会への参加」に対して著しい忌避感や抵抗感を持っている人は、それだけでせっかくの「働き」の評価を「おぼえ」によってさらにブーストさせられる貴重な機会を見逃していることも少なくない。これはもったいないことだ。

「働き」で得られる効用をブーストさせるのが「おぼえ」

言い換えれば、「働き」は「おぼえ」があることによってそのシナジーを爆発させるということでもある。

この「おぼえ」という資源は普段の生活ではなかなか手に入れられない。大型の案件を顧客から手に入れてきたり、あるいはコツコツ働いていてたまたま偉いオジサンの目に留まったりして、絵にかいたサクセスストーリーを歩みながら「おぼえ」を得る人もいるが、それは相当にレアケースだ。一般的には得がたい資源である「おぼえ」が時々、それも5000円や3~4時間というコストだけで簡単に手に入れられるイベントが、会社組織では定期的に開催されるのである。あえて行かない理由があるだろうか?

自分の「働き」で得られる効用や便益や評判をさらにブーストさせる貴重な資産である「おぼえ」を、それほどの対価を支払わずして手軽に得られるチャンスであると考えればどうだろうか。SNSでは満場一致で忌み嫌われている時代遅れの陋習ろうしゅう「飲み会」も、意外と見るべきところがあり、それこそお値打ちな買い物に見えてきたはずだ。

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