※本稿は、ジェイソン・ファン『糖脂肪』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
「1日おきの断食」はホルモン活動を変える
減量の効果を長期間にわたって続ける秘訣は、基礎代謝量をいかに落とさないかである。基礎代謝量を落とさずに減量するにはどうしたらいいのだろう。何も食べない時間を長くとればいいのだ。
つまり、食事をする時間をコントロールすればいい――「間欠的ファスティング」だ。
ファスティングをすると、シンプルなカロリー制限では得られない、ホルモン活動の変化がいくつも起こる。
インスリン値がすぐに下がり、インスリン抵抗性(インスリンが出過ぎて、インスリンに対して体が抵抗する状態。インスリンは体に糖が入ってくると分泌され、糖を細胞に取り込ませる働きがある)を防ぐことができる。ノルアドレナリンの分泌量が増え、基礎代謝量は高いままになる。成長ホルモンの分泌が増え、筋肉量も保たれる。
対照実験でもこのことが実証されている。4日間続けてファスティングをしても、基礎代謝量は落ちない(安静時エネルギー消費量を計測)。それどころか、基礎代謝量は12%増える。基礎代謝量のひとつの指標である最大酸素摂取量(1分間に消費される酸素量)も同じくらい増える。
ほかの多くの研究でも、これらの点は確認されている。1日おきのファスティングを22日間続けても、基礎代謝量は減らなかった。
カロリー制限よりもリバウンドするリスクが低い
1回の食事量をコントロールする方法では、1日の基礎代謝量が76%も減少した。これに対して、ファスティングをした場合、消費エネルギーが大きく減少することはなかった。つまり、毎日カロリーを制限した食事をしていると体は飢餓状態となって基礎代謝量が落ちるが、ファスティングをしてもそうはならないということだ。
研究ではこう結論づけられた。「1日おきのファスティングには、リバウンドのリスクはない」
減量しようと試みたことがある人にとって、これは注目に値する内容だろう。どんなダイエット法でも体重を落とすことはできるが、減った体重を維持することこそが本当の闘いだからだ。
ファスティングが効果的なのは、基礎代謝量を高いまま維持できるからだ。
これはサバイバルのメカニズムによる。
石器時代に洞窟に暮らしているところを想像してみよう。冬になると食べ物が少なくなる。このとき、もし体が飢餓状態になれば、外へ食べ物を探しにいくだけのエネルギーもなくなってしまう。日に日に体は衰弱していき、最後には死んでしまうだろう。
食べられない時間が長く続くたびに身体活動を低下させていたら、人間はとっくに絶滅していたことだろう。