〈大学生はなぜ「保存食」にされたのか…ピストルを撃っても襲ってくる「人間の味を覚えた熊」の超キケン〉から続く
犯行現場の近くには「性別がわからない」人間の頭部が……なぜベテラン釣り人は損傷の激しい状態で見つかったのか? ここではヒグマの恐るべき習性を、宝島社による新刊『アーバン熊の脅威』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)
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ヒグマの胃から見つかった「9キロの人の肉と骨」
幻の魚と呼ばれる「イトウ」釣りの聖地として知られる北海道幌加内町の朱鞠内湖で、凄惨な事件が起こった。
イトウ釣りで同所を訪れていた50代の男性がヒグマに襲われて死亡したのだ。遺体の損壊があまりにも激しく、ヒグマの残虐性を改め世に知らしめる事件となった。
2023年5月14日の午前5時半頃、被害者の男性はガイドの渡し船で朱鞠内湖北東の水辺に到着。男性はイトウ釣りでよく朱鞠内湖を訪れていたベテラン釣り人で、その水辺は男性のお気に入りの釣り場だったという。
しかし、午前9時頃に渡し船の船員が迎えに行ったところ、男性の姿は消えており、釣り人が使う胴長靴をくわえたヒグマが目撃された。
翌日に警察や地元のハンターらが捜索を行うと、水辺に大量の血痕が残っていることが判明。続けて、男性のものとみられる釣り竿や救命胴衣などが発見され、さらに周辺で人間の頭部が見つかった。頭部は顔面の損傷が非常に激しく、男女の区別すらつかない状態だったという。
頭部の発見からほどなく、体長1.5メートルほどのオスのヒグマが出現し、ハンターによって射殺された。17日の捜索では、頭部が見つかった現場から50メートルほど離れた場所で「頭のない人間の胴体」が見つかり、草木を被せてあったことからヒグマの習性で「保存食」とし隠したものとみられた。やはり頭部と同じく、胴体の損傷も非常に激しかったという。
駆除されたヒグマの胃からは、肉片や骨片など約9キロの内容物が見つかり、警察はそれらから男性のDNAを検出。さらに、遺体に動物に咬まれたり、爪で傷つけられたりしたような痕があったことなどから、男性は14日早朝にヒグマに襲われて死亡したと断定された。