中学生は嫌いです

南相馬市立中央図書館内のピアノ(自動演奏機能付き)。

「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」には、参加した高校生たちが現地で働く日本人から仕事の話を聞く時間があった。原町高等学校2年の佐藤麻優(さとう・まゆ)さん。に、印象に残った人を訊くと「美容師、ベビーシッター、寿司屋」との答え。いずれも人と話しながらする仕事だ。小学校の音楽の先生になりたいという佐藤さんの中に、本人も意識していない軸線のようなものが形成され始めている。こういう高校生には、抽象的な問いかけも届くのではないか。佐藤さん、大学で学ぶこと以外に、音楽の先生に必要なものって何だと思いますか。

「会話力とか、楽しいって思ってもらえるような表現力とかです。小学校に通っている子どもたちと音楽するから、興味を持ってもらうような接し方を、やっぱり知らないといけないから」

志望先は小学校限定ですか。中学校や高校という選択はない?

「もしかしたら大人になって、中学校も高校もやりたくなるかもしれないけど。いまのところ中学、高校は、まだわからないっていう感じ。中学生は嫌いです。高校になったらまだちょっと大人になるからいいんですけど。中学生ってなんか嫌なんです。 自分が行ってた中学校がそうだったからかもしれないんですけど、 中学生って、先生の言うことを聞かないっていうのが周りに多くて。先生、本当に大変だなって、結構思ったし。たまにかわいそうだなと思うときもあったし。そこでちゃんと接するのも大事だと思うんですけど、私はちょっと嫌です」

佐藤さんは小学校の音楽の先生になったとき、どこに住んでいますか。

「もし、今の自分だったら、地元がいいです。地元っていうか、近く。あまり遠くへ行きたくないんです。大人になって大学を卒業したときは、関東でも沖縄でもとか、遠くでもいいと思ってるかもしれないんですけど。もし、自分が明日から先生やれるってなったら、近くの学校がいいです」

「今の自分だったら」と佐藤さんは言った。この先、自分は変わるかもしれない。その予感が佐藤さんの中にはある。