黒田市議は、こう指摘する。
「弁当と、教育の一環である給食は、まったく別物です。川西市は中学校の完全給食、全員喫食を実施しました。そこに別の食べ物を持ってくることをよしとするのですか、という話です。百歩譲って本当にふりかけが必要であれば、それは家から持ってくるのではなく、給食として出すべきでしょう」
素材とだしにこだわる給食
ふりかけ持参をめぐる論争がネット上で伝えると、「給食がおいしくないことが根本原因」「栄養価の数字だけを満たそうとしているから、味は二の次になっている」などと、市を批判するコメントが数多く書き込まれた。
しかし、それは実際とは異なるようだ。川西市は手間をかけたおいしい給食を提供することで知られ、ほかの自治体が視察に訪れるほどだからだ。
市は14年前、阪神圏の都市部では初めて、週5回の完全米飯給食を小学校で実施。地産地消を心がけて、米は兵庫県産、おかずには季節が感じられる地元産の食材を豊富に使用している。
メニューは和食が中心で、出汁も削り節や煮干し、昆布からとることにこだわる。カレーやシチューも業務用のルーを使わず、すべて手作りだという。
新設された中学校の給食センターは、卵やエビなど28品目もの食物アレルギーに対応し、代替食も用意。施設は汚染・感染対策だけでなく、アレルギー物質が混入しないような管理が行われているという。
そんな給食は、生徒たちにも好評だというが、それでもご飯の残食が問題だった。
「ご飯とおかずをバランスよく食べてくれるといいのですが、おかずを先に平らげてしまい、ご飯が残ってしまう」
と、市給食課の高木普子課長は説明する。
給食では、おかずの量を単純に増やすわけにもいかない。文部科学省が定めた1食当たりのエネルギー量をもとに給食を提供しなければならず、「量とのバランスをとることに苦労しています」(高木課長)。