おいしいものでも食べすぎればストレスの悪循環

同じような結果は、イギリスにあるリーズ大学のダリル・オコナーによっても報告されています。

オコナーは、平均40.32歳の女性422名に、1カ月間、食べたものとストレスについての記録をとるようにお願いしました。

その結果を分析したところ、仕事でストレスを感じた日、つまり、だれかに批判されたり、無視されたり、あるいは大勢の前でプレゼンをしなければならなかった日ほど、高脂肪で砂糖たっぷりのスナック菓子の消費が増えることが明らかにされたのです。

もちろん、甘いものや高カロリーなものは一切禁止、とまでは言いません。私だって、ストレスを感じたときには、チョコレートやバニラアイスをたくさん食べてしまうタイプですから。

ただし、食べすぎには気をつけてください。毎日、職場でストレスを感じるからといって、毎日、甘いものを食べる習慣ができているような人は要注意です。

おいしいものを食べて、一時的に気分がよくなるように思っても、そのうち肥満になると、余計に疲れやすくなり、ストレスを感じやすくなるので気をつけなければなりません。

1週間のうち、2回とか3回くらい甘いものを食べるのであれば問題はないと思いますので、適度にとどめておきましょう。

地中海式の食事は心の健康にも効く

地中海式ダイエットというものがあります。ギリシャやイタリアの国々の人たちが食べているような食事を参考にしたダイエットです。

地中海式ダイエットといっても、何か特別な食材を用意する必要はありません。野菜と果物をたっぷりと食べ、お肉ではなく魚にして、なるべく砂糖をとらない、という食事をすればいいのです。

そういう食生活をしていれば、肥満になりにくくなります。

そして、この食事によって、肥満を予防できるだけでなく、なんと心の健康も向上させることができるのです。

オーストラリアにあるモナシュ大学のエイドリアン・オニールは、176名のうつの症状がある人たちに、地中海式の食生活をしてもらいました。

するとどうでしょう、3カ月後と半年後に追跡調査をしてみると、うつが大幅に改善されたのです。食生活を改めると、心も健康になっていくのですよ。

地中海式の食事については、他にもたくさんの研究があります。

同じくオーストラリアにあるスウィンバーン工科大学のロイ・ハードマンは、地中海式の食事に関する18個の研究を総合的に分析し、地中海式の食事をとるようにすると、

① 認知機能が高まる
② 記憶力が向上する
③ アルツハイマーを予防できる

といったさまざまな効果が得られることがわかりました。

他ならぬ自分自身の健康のためにも、ぜひ食生活にもっと気を配るようにしたいものです。