ブラジルの東洋人街での反応
サンパウロの東洋人街リベルダージ地区は、世界を席巻中のアニメと日本食人気により、かねてあったにぎわいが、週末ともなればもはやカオス状態だ。鳥山氏他界報道の後、最初の週末に地区を訪れると、案の定「亀」や「悟」の文字がプリントされたドラゴンボールTシャツを着た人が、あちこちで見受けられた。
街角やショッピングモールでドラゴンボールを愛する通行人をつかまえて、なぜ作品がサッカー界までも魅了したのかを尋ねてみた。
ブラジル南部ポルトアレグレ出身でグレミオ・サポーターのジエゴ・ゴンサルヴェス・サントスさん(40)は、自らのチームがXで鳥山氏オマージュの画像を投じたこと知っていた。ドラゴンボールは90年代の地上波開始当時からのファンだ。
「他界のニュースは悲しいけど、鳥山明は私たちに美しい遺産を残してくれました。ドラゴンボールこそが世界での日本アニメの人気の扉を開いたんです。現在、サッカー界で活躍している人はだいたい僕と同じかそれ以降の世代ですよね。多くの人が国籍に関係なくドラゴンボールを見て育ったんです。もちろんサッカー選手もです。ドラゴンボールの特筆すべき点は、悟空、ベジータ、ピッコロなどカリスマのあるキャラクターですよね。ブラジルではキャラクターの吹き替え声優も良かったんで、それが特にブラジル人の心をとらえたんだと思います」
ドラゴンボールのフィギュア人気は別格
ショッピングモールのフィギュア専門店「AKIBAステーション」で店員として働くジョナス・ケルビンさん(20)。羽織った袖なしデニムジャケットの背中と胸元には「悟」の文字が入っている。
「ドラゴンボールのファンは格闘家やサッカー選手などスポーツ界や芸能界にも多いですよね。ネイマールもドラゴンボールの大ファンだと言っています。ドラゴンボールは“絶対に諦めない”というメッセージが強いんです。どれだけ失敗しても、つまずいても、再び立ち上がり、仲間とともに戦うことでさらに強くなれるというのが、サッカーを愛する人の心に刺さったんだと思います。天下一武闘会というトーナメントも、サッカーの大会に似ていますよね」
お店で扱うフィギャアは近年のアニメ作品のものが多いが、それでもドラゴンボールのフィギュアの人気は衰えないそうだ。