ビジネスパーソンの評価が高いのはどんな本なのか。グロービス経営大学院とフライヤーは2月、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」を発表した。2022年12月から2023年11月の間に日本国内で刊行された書籍123冊を対象に、読者による投票を行ったものだ。その結果を紹介しよう――。
つえを持ちベッドに座っている高齢女性
写真=iStock.com/Armand Burger
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「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」受賞作

総合グランプリ:『きみのお金は誰のため』(田内学著、東洋経済新報社)
イノベーション部門賞:『温かいテクノロジー』(林要著、ライツ社)
マネジメント部門賞:『任せるコツ』(山本渉著、すばる舎)
政治・経済部門賞:『社会の変え方』(泉房穂著、ライツ社)
自己啓発部門賞:『世界一やさしい「才能」の見つけ方』(八木仁平著、KADOKAWA)
リベラルアーツ部門賞:『きみのお金は誰のため』(田内学著、東洋経済新報社)
ビジネス実務部門賞:『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉著、ダイヤモンド社)
〈特別賞〉ロングセラー賞:『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス著、児島修訳、ダイヤモンド社)
〈特別賞〉グロービス経営大学院賞:『冒険の書』(孫泰蔵著、あけたらしろめ挿絵、日経BP)


「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」概要
グロービス経営大学院とフライヤーが主催。対象書籍は、2022年12月から2023年11月の間に日本国内で刊行された書籍の中から、各出版社が1社5冊までエントリー、さらにグロービス経営大学院・フライヤー・協力各社が選書した書籍を追加。各書籍はイノベーション、マネジメント、政治・経済、自己啓発、リベラルアーツ、ビジネス実務の6部門のいずれか1部門に分類している。読者による投票は2023年12月5日~2023年12月27日に行われた。エントリーした書籍は123冊。投票数は非公開。

お金と社会の本質が「物語」で学べる

総合グランプリとリベラルアーツ部門賞をダブル受賞したのは、物語形式でお金と社会の本質が学べる『きみのお金は誰のため』でした。

田内学『きみのお金は誰のため』(東洋経済新報社)
田内学『きみのお金は誰のため』(東洋経済新報社)

本書の主人公は中学2年生の佐久間優斗。優斗は個別進路面談で「(将来就くなら)年収の高い仕事がいい」と答えたことから、担任に「お金より大事なものがある」と説教をされてしまいました。

納得がいかないまま帰路についたところ、近所の謎めいた屋敷の前で七海という女性に呼び止められます。投資銀行で働く七海は、謎の大富豪「ボス」に話を聞きに来たとのこと。ふたりはともにボスの屋敷に招き入れられ、お金の講義を受けることになります。

そこでボスがまず教えてくれたのは、お金にまつわる3つの真実でした。

一、お金自体に価値はない。
二、お金で解決できる問題はない。
三、みんなでお金を貯めても意味はない。

「そんなわけはない」と口々に反論した優斗と七海は、その後もボスの屋敷に通い、お金の講義を受けることに。さて、物語の行方は――?

お金と社会について学べるだけでなく、物語としても楽しめる、子どもにも大人にもおすすめしたい一冊です。気持ちのいい伏線回収と感動のラストにもぜひご注目ください。