「いつも私はあまり期待されてない」
誰かが育てた優秀な選手を集めてオールスターのようなチーム作り? 想像がつかない。おそらく彼女はそこに長く興味を見いだせないだろう。生み出すことの大変さより、その面白みを知り尽くしているのだから。しかし、母国でない国を背負うとはどんな心持ちになるのだろうか。
「正直なところ、プレッシャーはあまり感じないんですよ。いつも私は期待をあまりされてない状況がすごく多い。期待されてない中の女子サッカー、期待をされてない中でのS級ライセンス取得、期待されてない中でのウズベキスタン監督……とにかく勝ってもらわないと困るんだなんていうプレッシャーの中でスタートしていない。でも国旗を見ながらウズベキスタンの国歌斉唱を聞くと、国を背負っていることを実感します。日本人を代表してここに立っていると思っているし、日本の女性指導者ってこんなもんかとは思われたくないから、その自覚は常に持っています」
本田氏のウズベキスタンでの集大成である最終予選直前には、モロッコ遠征にも出て強化を図ってきた。彼女らが立ち向かうのは強豪オーストラリア。誰の目にも力の差は歴然としている。けれど試合はやってみなければわからない。
「ジャイアントキリングが起きる可能性って、相手よりも力が劣る場合は、体力が上回ってないとそれは起きないじゃないですか。2カ月でどれだけのものになるかはわからないけど、走りはずっと続けてきています。きっと守備の時間がほとんどだろうし、それこそハーフウェーラインを何回超えることができるか、って話だと思うんです。失点を抑えることはしないといけないけど、カウンター攻撃は最後まで狙い続けていたいです」