〈アカデミー賞ノミネート〉『ゴジラ-1.0』山崎貴監督「ゴジラが目の前まで迫ってくる悪夢のようなイメージをずっと思い描いてきた」(神武 団四郎/週刊文春CINEMA 2023秋号)

3月10日(現地時間)に授賞式が行われる第96回アカデミー賞の注目候補作をチェック! 視覚効果賞にノミネートされた『ゴジラ-1.0』。山崎貴監督のインタビューを転載します。(初出『週刊文春CINEMA』2023秋号。情報は掲載当時のものです)。

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いつか怪獣映画を作ってみたいと…

――山崎監督のゴジラの原体験を教えてください。

山崎 最初は子供の頃のテレビです。当時は野球中継が雨で中止になると、東宝の特撮映画をよく放映していました。たぶん初代『ゴジラ』(54年)に出会ったのもその時で、モノクロ映像がドキュメンタリーフィルムのようですごく怖かったのを覚えています。

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――怪獣映画もVFXを志したきっかけのひとつですか?

山崎 僕がこの仕事の存在を知ったのは、たしか「少年マガジン」の口絵の特集ページでした。怪獣映画の舞台裏が紹介されていて、人が着ぐるみを着てビルのミニチュアを壊しているのを見て、こんな仕事をしてみたいと思うようになったんです。その後『スター・ウォーズ』(77年)や『未知との遭遇』(77年)を観て完全に舵を切りました。ですからわりと早い時期から怪獣映画を仕事として見ていたし、いつか怪獣映画を作ってみたいという思いは持っていました。

かつての怪獣映画のすごさを再認識

――VFXの現場で働くようになって怪獣映画を見る目に変化はありましたか?

山崎 デジタルでいろんなことができるようになり、あらためて当時どれだけすごいことをやっていたのか思い知りました。僕らのやっているVFXはやっては直しの文化なんです。素材を集め、トライ・アンド・エラーを繰り返しながらカットのクオリティを上げていく。それを当時の怪獣映画は、ほぼインカメラで撮っていました。『ゴジラvsビオランテ』(89年)で、ビオランテがゴジラに突っこんでいくところなど、よくこんな映像が一発撮りで作れたなと思います。同じことをやれと言われても僕には無理ですね。