11月18日、創価学会の池田大作名誉会長の死去が報じられた。カリスマ指導者を失った創価学会は今後どうなるのか。『宗教問題』編集長の小川寛大さんは「2010年以降、池田氏は公の場に姿を現しておらず、死去の影響は限定的だろう。ただし、創価学会はもっと本質的な問題を抱えている」という――。
北京師範大学から名誉教授の称号を贈られ、拍手する創価学会の池田大作名誉会長(=2006年10月7日、東京・八王子市の創価大学)
写真=時事通信フォト
北京師範大学から名誉教授の称号を贈られ、拍手する創価学会の池田大作名誉会長(=2006年10月7日、東京・八王子市の創価大学)

池田氏はすでに“社会的に死んでいた”

“Xデー”は、実にあっさりと来たなという印象だ。

11月15日に創価学会の池田大作名誉会長が死去したとのニュースが流れたのは、同18日のことだった。以後、多くの創価学会員に取材で話を聞いて歩いているが、彼らの様子は基本的に淡々としたものだ。もちろん、多くの学会員は「偉大な池田先生の死」に悲しい思いを抱いているが、「覚悟していた、いずれ来るべき日が来た」という冷静な受け止め方をしている人がほとんど。例えば絶叫調に泣きわめくなど、そういう感じの人にはいまだ出会えていない。

そもそも池田氏は2010年以降、公の場にまったく姿を見せてこなかった。脳梗塞や認知症で長く病床にあったなどの報道がこれまでしばしばなされても来たが、年齢が年齢でもあり、実際に心身の状態はよくなかったのだろう。特にここ10年ほどは、池田氏は創価学会の組織運営にもうタッチしておらず、教団は集団指導体制に移行していた。

これは創価学会サイドも、基本的には認めていた事実である。こうした言い方には語弊もあるが、「具体的な活動は何もしていなかった」という意味で、池田氏はすでに10年ほど前から社会的には“死んでいた”のである。

今年3月2日に幸福の科学教祖・大川隆法総裁が死去した際、幸福の科学教団は当初マスコミの事実確認に対して「大川総裁の現在状況についてはコメントを差し控える」と繰り返し、信者へは大川氏の「復活祈願」を呼びかけていた。

また2020年12月5日に死去した御木貴日止・PL教団(パーフェクトリバティー教団)3代目教主のケースでは、教団ホームページに長く彼の死去の報は載らず、いつまでも教主在任中のような形で人物紹介がなされていた。こうしたことと比べれば、池田大作氏の死去は実にあっさりと訪れ、教団もそれを特に隠しもせず公表したことになる。