どの営業でもナンバーワンになれた秘訣
そして、紙を見せてもらったら、ゲストの歩いてきた道を5つか6つの言葉で表していた。
「30分の放送のために人生を6つの言葉でまとめる」
DJ松田一伸の才能とは人物を極端に簡素化することだ。彼は冗談がうまいわけではない。ほがらかではあるけれど、テンションが高いわけではない。相手の言葉を切り返すのが上手でもない。
だが、相手から言葉を引き出す能力があり、引き出した言葉をたちまちエッセンスにしてしまう能力がある。
思うに、その能力はディクシー大学のDJ課程で学んだものではないだろう。
英会話の教材を売ったり、自動販売機の設置をお願いしたり、太陽熱温水器を埼玉にたくさん設置したり、原宿のビル街でチリ紙交換の営業をしたり、ポーカーゲーム喫茶での接客で覚えた技だ。どの仕事も相手の人生、人格を瞬時に理解しなくていけない。彼のDJ技術とは対面した相手を理解する能力だ。
彼は商材に詳しいのではなく、買い手を知ろうとする。だから、どんな仕事をしてもナンバーワンになることができた。営業の能力とはモノよりも相手を理解し、相手の話を聞くことだ。何もアメリカのユタ州まで出かけていかなくとも、英会話の教材やチリ紙交換に専念していればよかった、かもしれない。