本人に面と向かって話す

隣の席に自分の荷物を置く人にも、それなりの思いはあるのかもしれません。しかし、だからと言って、前述の2人掛け席の車両のようになるのは好ましくありません。

どうすれば、そうした行為が減るのでしょうか。

これには、はっきりとした答えがあります。それは、本人に面と向かって話すことです。

席を空けてくださいと頼むことと、席を占有する行為に注意を与えることは異なりますが、いずれの場合も、遠回しに気づきを与えようとするのではなく、ストレートに伝えることが、効果を期待できる方法です。

公共の場で、人が人に注意を与える光景は、私が長く暮らした米国ではよく目にしました。

たとえば、混み合うバスの中で、複数の席を占有する人がいたら、誰かが注意をするでしょう。周囲の人たちも知らん顔を決め込むことはなく、注意した人を必要に応じて応援する姿勢を見せます。

注意を与えられた側が素直に謝り、行いをあらためた場合には、注意をした本人や周囲の人たちが大らかに許すのも特徴です。すぐに従った場合、その人にThank you.と、お礼のようなことを述べたりもします。

ここで米国の文化を持ち上げたいわけではありませんが、目指すべきは、こうしたコミュニケーションの取れる社会であって、「今、目の前でバスの座席を2席使っている人がいる。何だかなぁ~」とネットに書き込む人ばかりの社会ではないでしょう。

付箋にTHANK YOU
写真=iStock.com/tolgart
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紳士的に注意する

「面と向かって注意をする」ときですが、いくつかの気をつけるべき点があります。

1つ目ですが、注意を与える際には、紳士的に話すことです。

いきなり切れるとか、喧嘩腰はNGです。

丁寧な言葉遣いで、きちんと話し、すぐに相手が従ったり、言い訳しながらでも言うことを聞けば、それで解決したものとします(Thank you. と述べたりするのは、このタイミングです)。

相手が言うことを聞かない場合には、あきらめるというか、ここで話すのを止めます。米国人が両手を使ってする「お手上げのポーズ」がありますが、あのポーズをして引くわけです。

それ以上やり合っても、よい展開は期待しにくいものです。