地震や洪水などの災害にはどう備えればいいのか。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは「備蓄品の用意だけでなく、自宅の構造や周辺環境を確認しておくことが大事だ。特にタワマンに住んでいる人は管理体制や電気設備を調べたほうがいい」という――。(第2回)

※本稿は、和田隆昌『今日から始める生活防災』(ワニブックス【PLUS】新書)の一部を再編集したものです。

自宅避難に備えてやっておくべきこと

自宅が居住可能であれば、避難所に行かずに慣れ親しんだ自宅で生活を続ける「自宅避難」が原則です。避難所というのは基本的に家が倒壊してしまったり、住めなくなった方のための施設です。大勢が1カ所に集結すると避難所がパンクしてしまいます。なるべく家族と自宅にとどまることを検討するのがいいと思います。

自宅避難を前提とした備蓄は、災害時や緊急事態に備えて自宅で安全に過ごすために重要です。以下に、自宅避難を前提とした備蓄の基本的なアイテムをいくつか紹介します。第2章の「生活防災」の心構えでも備蓄について少し触れましたが、もう少し詳しくご説明します。

まずは、長期保存が可能な非常食を備えておきましょう。これには乾燥した穀類(米、パスタ)、缶詰、乾燥フルーツ、ナッツ類、栄養バーなどが含まれます。ごはんは水を加えるだけで食べられるアルファ化米が便利です。必要なエネルギーや栄養を補給できるものを選び、家族の人数や好みに合わせて量を確保し、最低でも3日分、可能であれば1週間分を用意しておきましょう。

また、普段食べる食材を多めに購入し、消費したら買い足す「ローリングストック」で備蓄しておきましょう。

自宅で非常用バッグを準備する女性
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

水を飲むことを我慢してはいけない

被災した日は停電になる可能性が高いため、冷蔵庫の中の肉や魚など、傷みやすい食材をまず使いましょう。クーラーボックスがあれば、一時的に食料を保存することが可能です。

飲み水は生命維持に欠かせません。災害時には水道が止まる可能性があるため、飲料水を備蓄しましょう。個別の容器に保存できるボトルウォーターや、水の保存袋(ウォーターバッグ)が便利です。

市販のペットボトルのほかに、空のペットボトルに水道水を入れて定期的に入れ替える方法をお勧めします。飲用以外に生活用水も一定量用意しましょう。1人あたり飲用と調理で1日3リットルの水を確保することが目安です。

水は大切なので少しずつ飲もうと思いがちですが、その節約が脱水症状を引き起こす可能性もあります。熊本地震では脱水症状などでの災害関連死が直接死よりも多く報告されています。水は我慢せずに十分に補給しましょう。