③④ 実行と検証:ずっと読みたかったが積読になっていた大著『愛着と精神療法』(デイビッド・J・ウォーリン著、津島豊美訳、星和書店)という本について、実践してみた。何カ月もかかったが、最終的に読破できた。一気読みするより、少しずつ読むほうが、かえってよく理解できたように思えた。今では毎朝、この方式で、専門書をちょっとずつ読む習慣ができた。

痴漢撃退のための問題解決(これは大学生だった頃の話です)

① 何が問題か:通学のための満員電車で毎日のように痴漢に遭う。痴漢されると怖くて心身が固まってしまい、身動きが取れなくなる。怖いだけじゃなく、気持ち悪いし、むかつくし、その日1日の気分が台無しになる。今と違って「痴漢は犯罪です」というコンセンサスもなく、耐えるしかなかったが、ある日、電車を降りたら、私を痴漢していた男も一緒に降りてきて、なんと「お茶しませんか?」とナンパしてきた。私は仰天した。痴漢に対して固まっているだけじゃ、こちらが嫌だということが伝わらないのだ。痴漢にナンパされるなんて冗談じゃない! 黙って耐えるだけじゃ嫌だ! 仕返ししてやりたい!

② 解決策のイメージ:(今なら、周囲の人にも協力してもらって、痴漢を駅員に突き出して捕まえてもらうだろうが、当時、そういう選択肢が私にはなかった)ポケットに安全ピンを入れて持ち歩くことにした。痴漢に触られたら、その手を避けるのではなくグッとつかむことにした。それで相手が手を引けばよしとする。それでも手を引かない場合は、そいつの手をこちらから捉えて、安全ピンの針をそいつの手の甲に刺してやることにした。

③④ 実行と検証:こちらがそいつの手首をグッと強くつかもうとすると、案外痴漢は手を引っ込めるということがわかった。捕まりたくないのだろう。それでもなお、手を引っ込めない奴は、安全ピンでそいつの手の甲をチクッと刺してやった。刺すところまでいったのは3度ぐらいしかなかったが、どいつも「うっ」とうめき声をあげ、手を引っ込め、2度と触ってこなかったので「よし」とした。