母の入院先を見つけるときの問題解決

① 何が問題か:(これは2019年の話です)脳出血でほぼ意識のない母親をケアしてくれる病院がなかなか見つからない。看護師の妹が1度引き取って介護したがそれには無理があり、再度、病院に入院してもらったがケアが不十分で、娘である私たちがいたたまれない。安心してケアをお願いできる病院をどうやって探したらよいかわからず途方に暮れている。

伊藤絵美『カウンセラーはこんなセルフケアをやってきた』(晶文社)
伊藤絵美『カウンセラーはこんなセルフケアをやってきた』(晶文社)

② 解決策のイメージ:自分たちの手持ちの情報ではどうにもならないので、フェイスブックで友人たちに事情をありのままお伝えし、病院や介護施設についての情報提供を依頼することにした。

③④ 実行と検証:フェイスブックで友人たちに助けを求めたところ、多くの友人から様々な情報や助言をもらうことができた。そのなかから看取りまでお願いできそうな病院の情報が見つかり、その病院を見学し、そこに母のケアをお願いすることになった。入院費はそれなりにかかるが、母の貯蓄から出すことにした。その病院のケアは素晴らしく、私たちは安心して母を委ねることができ、2021年4月に亡くなるまで、お世話になることができた。情報提供してくれた友人たちと、その病院には深く感謝している。

以上、問題解決法の私自身の具体例を6つ挙げてみました。いかがでしょうか? 現実的な問題を具体的に理解し、それを解決するための手段を具体的にイメージし、実行してみて結果を検証する、という問題解決法の流れをおわかりいただけたでしょうか。

千葉敦子さんの生き方を象徴している

問題解決法は認知行動療法の主要技法の1つですが、私が尊敬するジャーナリスト、故・千葉敦子さんの生き方を象徴するものでもあります。千葉敦子さんは、生活するうえで、そして生きるうえで遭遇する様々な問題を、ときには1人で、ときには友人ら他者の助けを借りて乗り切っていくという問題解決のプロフェッショナルでした。乳がんを患い、再発したときも悲観することなく、ずっと住みたかったニューヨークに移住し、そこでも問題解決を重ねながら、天寿をまっとうされました。