【自動思考】:代償っていう言葉は嫌だな。なんか悪いことをしたみたいじゃない。あと、「何で私が人の悪意を引き受けなければならないの?」という気持ちにもなった。

【助ける思考】:そっかあ。じゃあ、別の言葉をかけてみようか。

【自動思考】:「自分の気分が悪くなる以外に実害はないのだから、深刻に受け止め過ぎず、悪くなった気分をケアしよう」というのは、どうかしら。

【助ける思考】:それを自分にいってみて。どうですか?

【自動思考】:うん、それならピンとくる感じがする。もういったん気分が悪くなっちゃったのだから、その気分をケアするしかないもんね。

【助ける思考】:どうやってケアする?

【自動思考】:レビューのことばかり考えていてもしょうがないので、それについては「うんこのワーク」でトイレに流して、あとは別のことをして気をそらそうかな。それからかま吉(ぬいぐるみ)をだっこして、なぐさめてもらう。

【助ける思考】:かま吉は何と言ってなぐさめてくれるの?

【自動思考】:「大丈夫。大丈夫。何も悪いことは起きないよ。かま吉がついているから大丈夫だよ」と言ってくれると思う。

【助ける思考】:かま吉にそう言ってなぐさめてもらえると、どうなるの?

【自動思考】:ホッとして安心する。自分の気分以外に実害はないのだから、確かに大丈夫だよな、と思えそう。かま吉がそう言ってくれると説得力があるし。

【助ける思考】:それはよかった。では、この件についてはもう大丈夫かしら?

【自動思考】:うん、大丈夫になった。助けてくれてありがとうね。

対話のワークは以上です。いかがでしょうか? 「アマゾンのレビューに悪意ある評価がついて怖いし、気分が悪い」という最初の反応(自動思考)が、対話のワークを通じて、「自分の気分以外には実害はない。気分については『うんこのワーク』でトイレに流し、何か別のことをしよう。かま吉が言ってくれている通り、大丈夫なのだ」という新たな思考が導き出され、そのように思い直しすることによって、私は気を取り直すことができました。

この対話のワークのコツは、「頭のなかの言い聞かせ」にしない、ということです。

言い聞かせることなら、簡単にできますが、頭のなかの言い聞かせ、すなわち「理屈」ってほとんど役に立ちません。理屈ではなく、「どう感じるか」「腑に落ちるか」を基準に対話をすることが大事です。

コツその2:ひたすら優しい言葉をかけ続ける

「セルフ・コンパッション」という考え方と方法が現在注目を集めています。コンパッションとは、「思いやり」「やさしさ」のことで、自分の心身に痛みを感じたときに、そこにそっと視線を向け、思いやりのあるやさしい言葉をかけていくことが「セルフ・コンパッション」になります。