あらゆる分野で求められるIT技術
――近年、多くのインド人が欧米、特に米国のトップ企業などでCEOなどのポジションを得て活躍していますが、なぜそれができるのでしょうか。
最大の理由は、ずばり彼らが数学やITなどに優れた能力を持っているからです。特に最近ではIT技術は本当に重要で必須です。例えば、PCメーカーのデルの創業者は大学を卒業していません。アップルの創業者のスティーブ・ジョブスも大学を卒業してはいません。それでも、彼らにはITのセンスと技術があったので世界的なPCメーカーを創業できたのです。インド人にも大学教育や高度な専門教育を受けていなくてもITビジネスで成功している例は多くあります。現代社会では、IT技術はあらゆる分野で必須であり、多くの人たちが習得すべき重要かつ有効な能力なのです。
「自分の人生のリーダーは自分」「チャレンジを楽しめ」
――日本にもIT技術に優れた人材はいると思いますが、なぜインド人が飛びぬけて世界で活躍しているのでしょうか。
私の目から見ると、日本の若者は過重なストレスの下で育っているからかもしれません。そのために思考や行動において自由度が少ないように見えます。インド人は、自分が自分の人生のリーダーであるという思考がとても強いのです。つまり、自分の考えは正しいと肯定的に考え、なんでもできるのではないかと前向きに考える傾向が強く、自分の意志に従って思うように行動するのです。
IISJでは、生徒だけでなく彼らの親に対しても、「なにも心配する必要はない。頭と心をリラックスさせなさい。欲しいものは手に入るし、やりたいことは必ずできる」と前向きかつ肯定的に話をしています。学内の試験においても、「結果は気にするな、自分が頑張ったのならそれでいいのです」と心配を取り除いてリラックスさせることに注力しています。ベストを尽くせば、それでいいのです。それ以上を心配しても仕方ないのですから。
大学入試でも同じです。レベルの高い大学を目指すことでストレスを感じるのではなく、「自分自身を高めて成功に近づくためのチャレンジだと捉えるように」と教えています。まずは生徒に明確な目標を持たせ、その目標を達成するにはどうすればいいかを教え、あとは、その目標に向かってベストを尽くせばそれでいいのです。高い目標を重圧と感じさせるのではなく、自分の夢を達成するための希望にあふれたワクワクするチャレンジだと思わせて、楽しんで取り組むようにすることがベストなのです。
私は、生徒たちには常に「学校は楽しい場所だ」と思ってもらうように考えて行動しています。IISJでは、校長の私が生徒のいる教室に突然入っていっても、どの生徒も全く緊張せず、リラックスして笑いながら楽しく声をかけてくれます。自分自身も、生徒がそうなるように振る舞っています。それが私の教育ポリシーなのです。