親のためによかれと思ってしたことが、実は、親は望んでいないことがある。5つの典型的な失敗例から、親も子もしんどい毎日から抜け出す出口がズバリ見えた!「プレジデント」(2023年9月1日号)の特集「介護とお金の最新常識」より、記事の一部をお届けします――。
【失敗1】介護を機に仕事を辞めてしまう
「ウナギを食べたい」とせがんだ母に
親の介護が必要になった場合、仕事を辞めて必死に面倒をみようとする人が少なくない。厚生労働省の調査によると、2021年に「介護・看護」を理由に職を離れた人は、約9万5000人(男性約2万4000人、女性約7万1000人)。
老親のためによかれと思って下した決断だろうが、介護離職はふたつの点で問題がある。
①介護こそがその人の生き甲斐になってしまう。
②収入がなくなる、または激減する。
特に②は深刻で、たとえ転職したとしても、年収を転職前と後で比較すると、男性556万円→341万円。女性350万円→175万円(ダイヤ高齢社会研究財団の調査。15年)と、大幅な減収になる。
①、②のために子は精神的余裕をなくし、親を怒鳴ったり、親に手を上げたりしてしまうこともある。
最悪の場合は親が亡くなった後に、人生の目標を失ったこと+経済的困窮で、自殺する介護者もいるという。