大谷翔平も使った日帰り再生医療とは

再生医療には幹細胞治療のほかに「PRP治療」という方法があります。

「PRP(Platelet-Rich Plasma)」とは、日本語では「多血小板血漿けっしょう」と呼ばれていて、新しい組織や細胞の成長を促す栄養素が含まれています。PRPは患部に幹細胞を引き寄せる効果があり、炎症を抑える効果や組織の修復を促すことが期待できます。

患者自身の血液を利用するため安全性も高く、日帰りでの治療が可能です。ケガに素早く対応できるのも大きなメリットで、スポーツ選手の治療にも導入されています。

冒頭でもお話ししましたが、大谷翔平選手は、PRP治療と幹細胞治療を併用したようです。素早い治療が可能だが患部に幹細胞を引き寄せるのみのPRPと、幹細胞による治療をかけ合わせたのでしょう。

自己修復力を活性化させる方法として、「体外衝撃波」という治療法もあげられます。もともとは腎臓の結石を砕くために行われてきた治療法ですが、衝撃波の出力を10分の1ほどに設定して患部に照射することで、細胞組織の動きが活性化することが研究でわかりました。実際に、膝の滑膜の炎症に悩む患者に照射したところ、数分後には腫れが引き始め、痛みが軽減したと帰られる方も多いのです。

幹細胞治療も即日治療が可能に

幹細胞治療は多くのデメリットを解消した画期的な治療法です。しかし、患者自身の細胞を採取し培養する必要があるため、治療に時間がかかってしまいます。

現在、幹細胞治療は他人の細胞から培養したものを使用しても、技術的にも安全性的にも問題ないとわかっています。ただ残念なことに、現在の法律では、研究目的以外での投与が認められることはほとんどありません。

法律が改正され、他人の幹細胞による治療が認められれば、治療のスピードは断然速くなるでしょう。また、大量生産が進めば低コストでの受診が可能になるはずです。今のところ、当院での治療には1カ所60万円以上の費用が必要です。相場よりかなり安いのですが、それでも決して安い額ではありません。ちょっと膝の調子が悪いからサクッと来院して注射を打つ――早期治療で関節痛に悩むことがなくなる未来も近いのかもしれません。

肩を回すだけで関節痛予防になる

幹細胞治療で関節痛が治ったとしても、運動不足や栄養不足のような生活習慣によって、痛みが再発してしまっては元も子もありません。

たとえば、体のバランスが悪い人は歩くだけで腰や膝に負担をかけてしまいます。歩き方を改善するためには、ジムや整体でプロのトレーナーや理学療法士に正しい姿勢や筋トレ方法を教えてもらうべきです。姿勢や歩き方は、自分では正確に認識できないものです。筋肉のバランスが悪いのもよくありません。客観的に自分の体を見てもらう機会を設けることが重要です。