アプリの解約と再登録をくり返す

婚活アプリにはずっと継続している登録者がたくさんいる。解約と再登録をくり返している人もたくさんいる。婚活パーティーに参加すると、同じ男女に何度も出会う。あちらもこちらを見て、同じように思っているだろう。

自分を含め、このような人たちは皆、婚活中毒。婚活から抜け出せなくなっている。もっと自分にふさわしい相手がいるはず――と、男女とも思ってあきらめきれずに活動を続けている。

石神賢介『婚活中毒』(星海社新書)
石神賢介『婚活中毒』(星海社新書)

「理想が高いからうまくいかないんじゃないですか?」そんなふうに言われたことがある。そのときは堂々と否定した。しかし、長く婚活を続けてきて、指摘された通りだということがようやくわかった。

“理想が高い”というのは、言い換えると、高望みだ。自分に見合う相手をスルーして、手の届かない相手ばかりを追いかけているということだろう。

受験でいえば、偏差値が40なのに偏差値70の学校を受け続けている。100回試験を受けても合格しない。1年勉強して出直すしかない。現実的には、受験ならば自分の偏差値が40だと知っているので、70の学校は受けない。受験料の無駄遣いだとわかっているからだ。婚活でやっかいなのは、自分の偏差値が40だと思っていないところにある。だから、70の相手に行ってしまう。

付き合う→別れる→付き合うの無限ループ

アラカンでバツイチで不安定な職種でデカ顔なので“婚活偏差値”が低いとは思っている。でも、もしかしたら「思っている」と思い込んでいたのかもしれない。実際にはわかっていないのではないか。どこかに自分を高く見積もっている自分がいるのではないか。

たとえば、仕事だ。仕事に関しては、日々努力をしている。いい仕事をするためには時間を惜しまない。エネルギーも惜しまない。健康を維持するためにジムにも通うし、食事にも気をつけるようになった。そういう自分を意識的にしても無意識にしても評価して、恋愛偏差値に加点しているのではないか。

だから、ハイクラスの女性にも臆することなく、アプローチしてしまう。そして、フラれる。ときどき交際にいたっても、相手の弱点に目が行ってしまい関係を終わらせてしまう。

そして、もっともっとと、新しい相手を求めて婚活をくり返す。これも、婚活中毒者になるひとつの要因だと思う。

愛のメッセージを送信する男
写真=iStock.com/SIphotography
※写真はイメージです