「リスト化」は外部環境の変化に対応できない
例えば、タクシーに乗って、「どこそこまで、急いでください」と伝えたとします。
経験の浅いドライバーの場合、まずはナビをセットして、5つくらい表示される候補の中から、最短のルートを選択して、それに従って目的地に向かいます。
この5つくらい表示される候補ルートが、いわば「リスト化」された選択肢です。
ベテランのドライバーであれば、瞬時に複数の候補ルートを頭の中で思い浮かべ、「この時間はどこが渋滞しているか?」とか、「このタイミングでは、交通規制の可能性がある」など、自分の経験値で条件を加味して、ベストのルートを選びます。
リスト化されたナビに頼ることなく、条件や状況に応じて柔軟に情報をピックアップして判断するから、早く目的地に到着できるのです。
リストを作成して判断基準を固定化してしまうと、外部環境の変化に対応できず、結果的に空回りすることになります。
仕事を「視える化」するだけでは、必ずしも仕事は短くやれないのです。
「やることリスト」を作ると、結果的に効率が悪くなる!
「すべての仕事で、70点を確実に取る」が第一優先
どんな仕事でも100点満点の結果を出すことが理想ですが、たくさんのタスクを抱えているならば、そのすべてで満点を狙うことは現実的ではありません。
日本人には完璧主義の人が多いため、全部の仕事で100点満点の結果を狙いがちですが、仕事には必ず制限時間があります。
満点を目指してひとつのタスクに集中してしまうと、時間切れで他のタスクまで手が回らなくなります。
残りの仕事が全部0点になったのでは、何の意味もないのです。
私は自分の会社の社員には、「すべての仕事で、まずは70点を確実に取る」ことを要求しています。
優先度の高い仕事から始めて、全部のタスクで70点を目指します。
ひと通りの仕事が70点のレベルに達して、時間的な余裕や余力があれば、70点を80点へ、さらには90点に向かってブラッシュアップする……というスタイルです。
すべての仕事で満点を目指すと、プレッシャーに押し潰されながら、全力疾走する必要があり、仕事に「ムラ」が生じます。
70点のアベレージでいいとなれば、不安やストレスを抱えることなく、自然体で取り組むことができますから、素早く仕事が進みます。
短い時間で効率よく結果を出すためには、まずは70点を目指すことが第一関門だと考えています。