髪の毛がまるでコンクリートのように…

褥瘡というのは体の一部が体重で圧迫されて血流が悪くなり、皮膚がただれることです。

寝たきりの高齢者などに起こるもので、若い人に褥瘡ができることなど、普通はほとんど考えられません。

しかし陰性症状が強いケースでは、若くても褥瘡が心配されるほど動かなくなってしまう人もいるのです。

私が経験した陰性症状が強い患者さんで、入院するまで自宅で長い間、引きこもっていて、約10年間一度も入浴していない方がいました。

入院してから入浴させて髪の毛を洗おうとしたのですが、髪の毛がまるでコンクリートのように固まってしまっていてまったく洗うことができませんでした。

ノコギリを使って髪の毛を切り取った

おそらく頭皮の脂などがこびりついて固まり、それが少しずつ積み重なってコンクリートのようになってしまったのだと思います。

伸びきってカチカチになった髪の毛を切ろうと思いましたが、とてもハサミが入りません。

最終的にはノコギリのような刃物を使って少しずつ髪の毛を切り取り、頭をぬらし、ふやかしてまた少し髪の毛を切るということを何度も繰り返して、なんとか髪をカットすることができました。

髪がコンクリ化して、ノコギリで切るしかない
写真=iStock.com/Vladyslav Varshavskiy
髪がコンクリ化して、ノコギリで切るしかない(※写真はイメージです)